戦争さなかの自然とナショナリズム(民族主義):カチン・ビルマ・中国 - 東京カレッジ

戦争さなかの自然とナショナリズム(民族主義):カチン・ビルマ・中国

Laur KIIK

グローバルな環境危機、ナショナリズムの再興および中国の台頭それぞれによって、私たちの世界は変化してきました。こうした要因はどのように関連し合っているのでしょうか?

この関連について、中国とインドに国境を接し、第広大かつ調査があまり行われてこなかった地域で検討します。類まれな自然資源と生物多様性がみられるこの亜熱帯高地には、キリスト教徒、仏教徒および民族主義運動がパッチワーク状に存在しています。

私は2010年以来、カチン人を対象に民族誌的調査を実施していますが、特に戦時における経験として1)ビルマ人の民族間紛争、2)中国主導の自然資源経済および3)西側主導の生物多様性保護との遭遇に重点を置いています。

ビルマと中国に挟まれたカチン人の居住地域

例えば、調査の課題は次のとおりです。

民族混住地域において、国家を持たない民族はどのように独立を確保し、国際政治はどのような働きをするのか?キリスト教は民族主義とどのようにつながっているのか?フィールド調査中、カチン人キリスト教徒民族主義運動、ビルマの長期に及ぶ軍事的抑圧、その他の民族集団および最近の中国の台頭の狭間でいかに多様な人びとが生きているのかについて知りました。

エスニック・ポリティクスは環境ポリティクスとどのようにつながっているのか?カチン地域では、軍隊と企業が大量の自然資源を略奪し、そのほとんどを中国へと送っています。これに対し、カチン民族主義者による環境保護主義を含む抵抗運動が起こっています。私の調査対象は、ヒスイ、金、琥珀およびレアアースの採鉱産業から、水力発電用巨大ダム事業、熱帯雨林の伐採およびバナナ・ゴム・ケシのプランテーションまでにわたります。

カチン地域における古代からの熱帯雨林と類をみない野生生物には、国際的な自然保護活動家が関与してきました。軍事的抑圧および民族紛争の中で保護地区はどのように機能しているのか?生物多様性の保護と社会科学とはどのようにつながるか?調査対象は、フーコン渓谷の「世界最大のトラ保護区」、インドージー湖・湿地およびカカボラジ山のヒマラヤ「氷河」です。

これまでの研究業績としては、自然資源略奪に関するカチン民族主義者の見解およびミッソンダム巨大事業に関する国際論争のカチン、中国およびビルマ側それぞれの立場について検討したものがあります。

 

研究業績

民族主義と自然資源:

2016. Conspiracy, God’s Plan, and National Emergency: Kachin Popular Analyses of the Ceasefire Era and its Resource Grabs. In War and Peace in the Borderlands of Myanmar: The Kachin Ceasefire, 1994–2011, edited by M. Sadan, 205–235. Copenhagen: NIAS Press. http://kachinceasefire.weebly.com/laur-kiik.html.

ミッソンダム巨大事業:

2020. Confluences amid Conflict: How Resisting China’s Myitsone Dam Project Linked Kachin and Bamar Nationalisms in War-Torn Burma. Journal of Burma Studies 24 (2): 229–273. doi.org/10.1353/jbs.2020.0010.

2020. Inter-National Conspiracy? Speculating on the Myitsone Dam Controversy in China, Burma, Kachin, and a Displaced Village. Geopolitics [online first]. doi.org/10.1080/14650045.2020.1808886.

2017. (co-authors: Foran et al). Large Hydropower and Legitimacy: A Policy Regime Analysis, Applied to Myanmar. Energy Policy 110: 619–30. doi.org/10.1016/j.enpol.2017.08.043.

2016. Nationalism and Anti-Ethno-Politics: Why ‘Chinese Development’ Failed at Myanmar’s Myitsone Dam. Eurasian Geography and Economics 57 (3): 374–402. doi.org/10.1080/15387216.2016.1198265.

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