民主的な監視国家の出現 - 東京カレッジ

民主的な監視国家の出現

Rory SCHACTER

中国など非民主主義国が国民を統制し、公共領域と経済領域を管理するために、AIによるデジタル監視技術を利用していることは近年、多くの文献で論じられています。一方で、ジョン・グレイ(John Gray)やショシャナ・ズボフ(Shoshana Zuboff)らは、デジタル監視技術の利用において、その形態はかなり異なるとはいえ、民主主義国と中国の収斂が進んでいると指摘しています。中国には公式の社会信用システムがあります。それに対し民主主義国では、巨大な民間IT企業のデータ収集システムと官民連携に支えられた事実上の監視システムが生まれているという見方もあります。

本プロジェクトでは、民主主義下での官民のデジタル監視について、個人のプライバシーや自由の原則を守ることが主たる目的だと考える人々の主要な論考を分析します。次いで、モンテスキューが示した問題認識に基づいて、そうした論考に対する批判を提示します。よく知られているように、モンテスキューは「政治的自由」を、「各人が自己の安全について抱く意見に由来する精神の安静」だと定義しています(『法の精神』第11篇第6章)。アルゴリズムの進歩に伴って監視の可能性と手段が拡大しています。社会的・政治的にますます分断化する民主主義社会において、デジタル監視が安全と安定という目的にかなうなら、デジタル監視への関心は高まり、さらに普及する可能性があります。COVID-19の世界的拡大とそれに対する民主主義国の広範な対応、さらには公的コミュニケーションの主要な場(民間の技術プラットフォーム)によって、こうした問題が劇的に増大しています。

プライバシー規制の強化など、提案されている多くの対応策は、技術的・経済的な問題は政治的施策を必要とするという考え方に立っています。しかし、主要な問題は技術変化そのものだと考え、新たな法律や政策ではなく、新たな技術イノベーション(たとえばブロックチェーン技術)が長期的に見て最も有望であるか可能性のある方策だとする見方もあります。

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“Tocqueville and the Paradoxes of Digital Individualism,” in Liberal Education in an Age of Automation, edited by Karim Dharamsi. Wilmington, DE: Vernon Press. (forthcoming)

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