都市の緑地はソーシャル・キャピタルを高めるのか? - 東京カレッジ

都市の緑地はソーシャル・キャピタルを高めるのか?

Rosita SAMSUDIN

人々は自らの存在を認識し、存在を表現するために自然を求めます。たしかに、人間と自然の関係は生態系サービスの枠組みの要を成しています。生態系サービスとは、都市の持続可能性とレジリエンスのために自然を基盤とした解決策を提供する生態学の概念で、近年大きな関心を集めています。とはいえ、急速な都市化は自然と人間の調和を脅かしています。都市化のプロセスは自然の利用可能性を低下させ、都市に環境問題を引き起こしてきました。それとは別に、都市化による高密度化は社会からの離脱や、人間の幸福(ウェルビーイング)の主要な指標であるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の減少を招くかもしれません。

社会的相互作用を促す自然の役割は今に始まったものではありません。近代都市計画の初期から議論されてきました。「ニューアーバニズム」は今日の多くの都市の緑地計画に影響を及ぼし、都市の緑地を含め公共空間へ徒歩で行けることを提案し、社会的相互作用を促しています。また、都市の中の自然を日常の公的な社会空間と位置づけ、その役割を強調しています。しかしながら、都市の緑地は社会的相互作用を促し、ソーシャル・キャピタルを高めるとはいえ、そうした側面を理解するための研究は今でも限定的です。アジアの高密度の都市については特にそうです。

これまでに行なわれたシンガポールの事例研究では、自然がどれだけあるかということより、都市の緑地に対する人々の認識のほうが重要であることがわかりました。とはいえ、緑地に対する認識は状況によって変わる可能性があり、知識と将来の都市緑地計画・設計に貢献しうる一般論を導き出すには、比較研究が重要となります。日本の都市に関する数少ない研究が、住民の認識が緑地の評価に影響することを実証しています。ただし、高密度の都市環境における緑地とソーシャル・キャピタルの関係を包括的に分析した研究はまだ知られていません。

 

References

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