3年目の春 | 東京カレッジ

3年目の春

2021.04.05
HANEDA Masashi
羽田 正

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4月になりました。2019年2月1日に設置された東京カレッジは、3回目の春を迎えました。若手研究者の数が増え、准教授1人、特任助教2人、特任研究員5人、ポスドク研究者6人がカレッジに所属しています。もっとも、今年になって採用された2人は日本政府による渡航制限のために東京に来ることができず、北米に滞在したままです。300人以上の応募者の中から選ばれた今年度採用の5人のポスドク研究者がこれに加わると、若手研究者の数は20人に近付きます。2年前には、研究者としては私と二人の副カレッジ長しかいなかったのですから、これは本当に驚くべき急激な拡大です。その副カレッジ長お二人(佐野先生、大竹先生)は、3月末で任期を終え、カレッジを去られました。かわりに、今月からは味埜俊先生に副カレッジ長をお願いしています。

新年度になったところで、東京にいる研究者にごく短時間集まってもらい、私たちの様々な活動をしなやかにかつ力強く支えて下さっている職員の皆さんと一緒に記念撮影を行いました。それがこの写真です。現在の東京カレッジの明るく柔らかくて親密な雰囲気をお感じ頂けるのではないでしょうか。パソコンのスクリーン上では見慣れているけれども、実際に会うのはこの日がはじめてという人たちもいたようです。感染予防のために撮影後すぐに解散としましたが、天気もよかったし、本当はもっと皆で楽しく語らいを続けたいところでした。来年の春には、さらに大勢になった仲間たちと一緒にぜひそのような機会を持ちたいものです。

 

東京カレッジは、3つのミッションを持っています。1つは国内外から卓越研究者や将来有望な若手研究者を招聘すること、2つめはこれらの研究者と東大の研究者が共同研究を行って先端的、分野融合的な新しい知を創造すること、そして、3つめがこうして生まれた知を、講演会やシンポジウムそれに対談などを通じて、学生や一般市民に届けることです。このうち、1つめと3つめは、外からも比較的見えやすい活動ですが、2つめは実際の研究そのものなので、具体的な成果が発表されるまではなかなか捉えにくいところがあります。

しかし、実は昨年の春からの1年の間にもっとも進展が見られたのはこの点だと私は考えています。カレッジに所属する研究者の間でのオンラインの集まりは、過去1年の間に60回開催されました。各自の研究テーマの紹介、「人文学の未来」「アイデンティティ」「コロナ危機」などのテーマを決めた定期的な研究会、それにお茶会と称する情報交換会のように様々な会合が開かれました。研究テーマの近い研究者同士の私的な意見交換の会やカレッジ外の研究者も入ったウェビナーなどはこの数に含まれていません。

オンラインゆえに気軽に会を設定できたということもあるでしょう。しかし、実際の会合では常に、よく準備された興味深い報告がなされた後で活発な意見交換が行われています。私自身がこれらの会合から得た新しい知識と知的な刺激は計り知れません。それはおそらく他の研究者たちにとっても同じでしょう。今年度のうちには、若い研究者たちがイニシアティブをとって、こうした研究会での議論のエッセンスや研究の成果を分かりやすく伝える講演会やシンポジウムなどが開催されることになるでしょう。3月8日の国際女性の日の前後に開催された連続イベントはその第一弾とも呼べるものでした。

 

第1のミッションのうちの卓越研究者の招聘は、COVID-19による国際的な人の移動の制限のために、なかなかはかどりません。残念です。今月初めから4か月間、ちょうど本学工学系研究科での仕事を終えられたJenny Corbett先生を卓越研究者としてお招きすることができましたが、これは例外です。少なくとも今年度の前半は、招聘が難しい状況が続くでしょう。しかし、私たちは、過去1年の経験で、公開講演会やパネルディスカッションだけなら、海外の研究者にわざわざ東京までお出で頂かなくても、オンラインで開催できるということを学びました。学生や一般市民の方々に関心を持っていただけるような時宜にかなった興味深いテーマを選び、海外の研究者も交えたオンラインでのイベントをできるだけ多く企画したいと思います。現在進行中の連続シンポジウム「コロナ後の社会」はその一例です。

 

様々な困難はありますが、私たちは着実に歩みを進めます。3年目に入った東京カレッジの活動を暖かく見守り、引き続きご助言、ご支援、ご協力を頂けますようにお願いします。

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