新型コロナ感染のデータを読む(その2:日本) | 東京カレッジ

新型コロナ感染のデータを読む(その2:日本)

2020.03.31
SANO Masaki
佐野 雅己

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日本全体での累積感染者数は、その1の図4に含まれている。日本の感染者数の増加の傾きは、EUやアメリカとも異なるし、水際対策が功を奏したと言われているシンガポールや台湾で見られた停滞期の傾きとも異なる特殊な振る舞いを見せている。検査数が不十分と言われているため、実数は不明だが、無理は承知の上、直線で近似すると、2月19日から3月10日頃までの3週間は1週間で約2倍の増加率となっていた。イベント自粛や自主待機等の効果のためか、3月10日以降から増加の傾きはやや小さくなっていたが、ここ数日は増加率が増加している。さらに詳細を見るために都道府県別にデータを見てみよう。(データは、各都道府県の発表データに基づく。)

日本の主要都道府県における感染者数

 日本で感染者数が多い主要な都道府県ごとに累積感染者数をプロットしたのが図1である。首都圏では東京と神奈川はほぼ連動しており、埼玉、千葉はそれより少し遅れて追随している傾向が見られる。また、北海道、愛知、大阪、兵庫などでは一時的にクラスターの発生が見られた時期に数が増えているが、その後増加率は鈍っている。東京についてさらに詳しく見てみよう。ばらつきは多いものの、ざっくり直線で近似すると、2月19日から3月20日頃までの1か月間は、1か月で3倍程度の緩やかな上昇であったが、3月23日頃から上昇が始まり、25日あたりからその傾向が明確になり始め、3月29日の現在まで数日間は同じ傾きで増加を始めている。この直線の傾きを測ると、EUやアメリカで観測された傾きに近くなっていることが分かる。10日で約10倍という増加率となる。首都圏で3月28、29日の週末の自宅待機要請が出されたので、その効果が見えるには2週間ほどかかると思われるが、もし今の増加率が続くならば、10日後には4000人、20日後には4万人となってしまい、現在のニューヨークなどの状況に近づいても不思議ではない。医療崩壊を防ぎ、治療体制や治療薬が整うまで何としても増加のスピードを抑えてゆく必要があるだろう。

図1 主要都道府県の感染者数

日本全国での感染者数の分布はどうだろうか、ここでは示していないが、2月末の時点では20都道府県だけで感染者が見られたが、3月末現在では43都道府県に感染者が広がっている。それを反映して、図2に示すように全体の約半分の人数は、上位7都道府県以外に広く分布している。

図2 主要都道府県とそれ以外の感染者数

 

アジアに見える希望と世界の協調へ向けて

その1で述べた世界のデータを見ると、日本の他、EUとアメリカ以外でも感染爆発の危機が迫っており、見通しは暗いと言わざるを得ないが、そんな中で、東アジアでは今のところ増加率を小さく抑えて持ちこたえているかに見える国々がある。中国からの距離が近いため、逆に早くから水際対策を実施し、その後もIT技術等を駆使しながら対策を進めているシンガポールや台湾、大規模なクラスター発生を乗り越えたかに見える韓国などがその例である。これらの国では、中国のような強制的な封鎖や自宅待機というような強力な措置はとらずに、小さな集会や学校の開講も継続できている国がある。これらの国で行われている対策やIT技術から学べることも多いと思われる。一方、長期的な観点では、中国で行われたような、国内での厳密な移動制限を実行し、感染者を減らした後、外国人の入国を禁止してそれ以上の増加を防ぐような対策が、他の国で実施できると考えにくいし、仮に行われたとしてもその期間が長引けば経済への打撃は計り知れないだろう。すでに治癒した人は抗体を持っているので、短時間で結果の分かる抗体検査とPCR検査を併用することで、抗体のある人は入国や移動を許可し、待機やテレワークと待機の緩和を繰り返しながら、治療薬の開発まで持ちこたえるという残された道がある。そのためにも検査体制や治療体制が整っていない開発国で、知らないうちに感染が広がりそれが再び欧州やアメリカ、アジアに逆流したり、蔓延が続くことでウイルスの変異で危険性が増すというような事態は絶対に避けなければならない。そのためにも国際協力が不可欠だ。そんな中、サピエンス全史やホモ・デウスの著者で歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏によるTimes誌への寄稿は、グローバルヒストリーとしての感染症の歴史、ウイルスの生物学的な進化と適応の可能性を踏まえ、今こそ世界は分断するのではなく、協調すべきと提言しており秀逸だ。政治家も含め、我々一人一人が心すべきことだと思う。 http://web.kawade.co.jp/bungei/3455/

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