磁石、乱流、鳥の群れ、すべて相転移? | 東京カレッジ

磁石、乱流、鳥の群れ、すべて相転移?

2020.02.07
SANO Masaki
佐野 雅己

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東京カレッジがかかげるモットーに、「発見のよろこび、知識の力」があります。自然や世界をもっと良く知りたいという、人間が本来持つ欲求は、研究者も市民も変わらないと思います。カレッジは、この知と感動を皆さんと共有したいと考えています。
これに関わるイベントとして今、東京大学と国立科学博物館の共同による企画展「物理はふしぎで美しい:水と磁石からひろがる相転移の世界」が2月9日まで上野の科博で開催されています。先日は、東京カレッジと科博の共同講演会「相転移への招待」も開催されました。相転移とは何でしょう?しかも物理のテーマとなると、難しく感じる人も多いと思いますが、氷が溶けて水になる、水が沸騰して水蒸気になる、水蒸気から雪の結晶ができる、これらは全て相転移です。このように、同じ物質でも環境条件が変わると、見かけや性質が変わってしまうことを言います。
水だけでなく、液晶ディスプレイに使われている液晶、磁石なども相転移することを実演やビデオ、コンピューターシミュレーションで分かりやすく解説しています。見どころは、長さ約6メートルの乱流屏風です。聞きなれない言葉と思いますが、水の流れがまさに金色の屏風のように広がり、しかも次々と新たなパターンが現れては消えるため、2度と繰り返すことのない美しい模様の流れを楽しむことができます。見ているだけでも癒され、飽きない展示です。それのどこが磁石や相転移と関係あるの?と思う人もいるかもしれませんが、実は物理学の最先端では、水のまっすぐな流れ(層流)が乱れた流れ(乱流)になる現象も相転移であるとの議論が高まっています。また、私たちの住む宇宙も相転移によってできたと考えられているほか、魚や鳥の群れができるのも相転移であるという考えが最近、研究者の間でホットな話題となっています。
それでも物理は苦手というあなた、大丈夫です。もしあなたが料理好きなら、いつも見事に相転移をあやつっているはずです。料理をしない人も、朝目覚めて、お湯を沸かしてコーヒーを淹れ、夜にはウイスキーに氷を浮かべて楽しんでいるならば、あなたはすでに相転移をマスターしています。興味を持った方は、この機会に科博を訪れ、普段は気がつかない、物理と身の回りの現象の深い関係に触れてみてください。
東京カレッジでは、これからも様々なイベントや講演会などをとおして、発見のよろこびを市民の皆さんと共有してゆきたいと思います。ご期待ください。


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