旧約聖書は王国滅亡をどう語ったか:危機と自然をめぐる3つの言説(講演者:Thomas RÖMER教授)
イベント予定講演会/Lecture2025年5月22日(木)13:00-14:30
紀元前587年のエルサレムの陥落・ユダ王国の滅亡に関連して、旧約聖書(ヘブライ語聖書)には自然や環境に対する異なる言説が見られます。 本講演ではドイツの社会学者アルミン・シュタイルの分析にならい、国家的危機を前にした人々の姿勢を 1) 預言者(危機の後に人間、自然、動物が調和する楽園のような未来が訪れると考える)、2) 官吏(自然災害を神の裁きと捉え、環境に関心を払わない)、3) 祭司(現在の儀式につながる神話的な過去を構築し、人間と自然の調和をめざす)に類型化して読み解きます。生きとし生けるものとの共存について、聖書は私たちに多くのことを教えてくれるでしょう。
中国:権威主義2.0(講演者:David YANG 教授)
イベント予定2025年6月4日(水)15:00-16:30
経済的に強く、ハイテクに精通し、グローバルにつながり、洗練された支配方法を用いる現代の中国は、権威主義2.0の典型と言える。何が中国の政治経済を定義し、何が権威主義2.0を動かしているのか? 今後の方向性は? 本講演は、権威主義の2つの重要な課題であるインセンティブと情報について考察する。権威主義1.0が恐怖と強制に依存していたのに対し、権威主義2.0は経済的インセンティブを用いて政権と利害を一致させることで、国民の支持を得る。インセンティブと情報を管理するために高度な官僚機構とテクノロジーを採用し、高度な情報環境で機能している。最後に、権威主義3.0の可能性を探る。中国では経済成長が鈍化する一方で国民の期待は高止まりしているため、国家統制のためのテクノロジーを駆使して権威主義1.0に回帰する可能性がある。世界的に見れば、中国を筆頭とする現代の権威主義は、自由民主主義的な秩序に挑む地政学上の重要な勢力になりつつある。