フランスの数学研究:学術的卓越性の典型的なモデルか、非典型的なモデルか? - 東京カレッジ

フランスの数学研究:学術的卓越性の典型的なモデルか、非典型的なモデルか?

日時:
2021.10.13 @ 17:00 – 18:30
2021-10-13T17:00:00+09:00
2021-10-13T18:30:00+09:00
フランスの数学研究:学術的卓越性の典型的なモデルか、非典型的なモデルか?
終了しました
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開催日時 2021年10月13日(水)17:00-18:30 (日本) / 10:00-11:30 (フランス)
会場

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申込方法 事前申込制
言語 仏語(日本語同時通訳)
要旨

数学研究におけるフランスの卓越性は古くから認められている。この傑出した地位は、訓練や人材発掘のための選抜試験等のいくつかの伝統的な要因によるものだと説明されている。しかし、その効果は他の科学分野におけるよりも早熟で累積的なものである。
経験科学とは一線を画すこの個人主義的な学問において、推論と問題を解くことによって育まれてきた楽しみながら競争して挑戦するという文化には、組織的な面での特徴もある。職を得るための競争はより開かれていて内と外を区別しない。当初は純粋な研究職につくことに利点があるが、だからといって優秀な数学者が皆教育を避けるというわけではない。
このような特徴はシステムとして確立しているが、それが特に数の少ない女性のキャリアに不利に働く原動力となっているのではないだろうか。私の分析は、これまでに他に類を見ない膨大なキャリアと出版物のデータに基づいて行われる。

プログラム

発表 Pierre-Michel Menger  (コレージュ・ド・フランス教授) 

コメント Ralph Willox (東京大学大学院数理科学研究科教授) 

議論/Q&A 司会 羽田 正 (東京大学東京カレッジ長)

講師プロフィール

講演者:

Pierre-Michel Menger

Pierre-Michel Menger教授は、パリにあるフランス高等師範学校で、哲学と社会学を学んだ後、1980年にフランス国立社会科学高等研究院で博士号を取得した。フランス国立科学研究センターの上級研究員を経て、コレージュ・ド・フランスに移り、そこで2013年より「クリエイティブワークの社会学」講座を担当している。また、2010年よりアカデミア・ユーロぺア会員であり、フランス国立社会科学高等研究院で教授(研究部長)も務めている。現在の主な研究分野は、研究や高等教育における能力・キャリア・階層のグローバル競争、および能力主義とそれに対する不満である。

Pierre-Michel Menger教授は、著者および共著者としてこれまでに16冊の本を出版しており、各種学術雑誌(Revue française de Sociologie, Sociologie du travail, L’Année Sociologique, Annales, Annual Review of Sociology, Poetics, Revue française d’économie, Revue Economique)への投稿も多数ある。現在はRevue Economique とRevue française de gestion誌の編集委員も務めている。教授の『Economics of creativityクリエイティビティの経済学』は、2014年にハーバード大学プレスから出版された。

 

 

コメンテーター:

Ralph Willox

東京大学大学院数理科学研究科教授 

専門分野:応用数理・数理物理

 

主催 東京大学国際高等研究所東京カレッジ
お問い合わせ tokyo.college.event@tc.u-tokyo.ac.jp

Upcoming Events

開催予定のイベント

クラウドソーシング・ヘルスケアの未来(講演者:Simo HOSIO教授)

イベント予定講演会/Lecture

2023年10月3日(火)16:30-18:00

人工知能は、近い将来ヘルスケアに革命を起こす可能性を秘めています。本講演では、さまざまなデジタル技術の組み合わせ、メンタルヘルスに関する現在進行中の事例研究、そして、クラウドソーシングを用いた大規模拡張が可能なオンライン実験における文化の違いや人的要因に光を当てたHosio教授のデジタルヘルスに関する研究を紹介します。

現代韓国の文化と民主主義(講演者: KIM Hang教授)

講演会/Lecture

2023年10月24日(火)10:30-12:00

いわゆる"K"を冠した韓国発の文化が日本のみならずグローバルに人気を博している。今回の講演ではこうした現状を、1990年代後半からの韓国における政治・経済・社会変動において理解することをテーマに据える。それにより現代韓国における文化と民主主義の関係、そして何かと荒波が止まない日韓関係を考える際のささやかなヒントを共有するきっかけになることを願いたい。

世界文学と翻訳 「The Bankruptcy」翻訳出版を記念して

シンポジウム/Symposium

2023年10月26日 (木)19:00-21:00 JST (ロンドン: 11:00-13:00; サンパウロ: 7:00-9:00am; ニューヨーク: 6:00-8:00am)

小説「The Bankruptcy」(Júlia Lopes de Almeida著)の新訳は、受賞をきっかけに世界に知られるようになりました。翻訳出版を記念し、本シンポジウムでは、担当翻訳者、編集者、また、研究者らが世界文学の現状とブラジルや日本、そして他国における翻訳が果たす役割を議論します。

Previous Events

公開済みイベント

東京カレッジ&MbSC2030共催 シリーズ 未来の科学技術への取り組み「未来のモビリティ:人間とサービスの関係性について」

イベント予定講演会/Lecture

2023年9月21日(木)15:00-16:30

「Mobility=自由に動けること」は、すべての人々が根源的に希求すること。ウーブン・バイ・トヨタは、人、モノ、情報の3つの「Mobility」の実現を目指す。それは、安全でスマートな、人に寄り添うモビリティをすべての人に届けることである。本講演では、最先端の車両ソフトウェアプラットフォームによる集約型システムについて解説をする。

脱炭素化とサステナビリティのためのエネルギー転換 (講演者:Yiguang JU教授)

イベント予定講演会/Lecture

2023年9月13日(水)15:30-17:00

気候変動や環境の持続可能性に対する社会的関心が高まる中、今後数十年のうちに「化石燃料エネルギー」は、再生可能な電力による「電子エネルギー」へと変化していくだろう。本講演では、再生可能エネルギーの貯蔵や断続的な生産といった課題に対処するための3つの方法: 非平衡エネルギーと化学変換、材料製造、アップサイクルに焦点を当てる。また、脱炭素化と持続可能性の観点から、これらの改革がもたらす利点についても議論する。

インド太平洋地域における抑止力と外交のバランス(講演者: Bill EMMOTT 潮田フェロー )

イベント予定講演会/Lecture

2023年7月25日(火)13:00-14:30(開場 12:30)

「今日のウクライナは明日の東アジアになりうる」と岸田首相は警告している。しかし、これをどのように防ぐことができるのか?日本やフィリピンを含むアメリカの同盟国は、抑止力のネットワークを構築しようとしている。これはどのように外交と結びつけられるだろうか?抑止は同時に挑発にもなりうるのか?本講演では、こうしたジレンマについて解説し、探っていく。

出版記念「複雑な絡まり合いーフィリピン研究」

イベント予定講演会/Lecture

2023年7月20日(木)16:00-17:30

地域研究という分野では、その植民地時代の起源、研究者の視点や立場性と方向性について、時折論争が起こります。Plural Entanglements: Philippine Studiesの出版を記念した本イベントでは、人類学者のDOCOT博士がこうした議論とフィリピン研究の包括性について語り、BARRETTO-TESORO博士が先住民の視点を用いた革新的な章を紹介します。

言語・文化・思考はどのように関係しているか(講演者:今井むつみ教授)

イベント予定ワークショップ/Workshop講演会/Lecture

2023年7月18日(火) 16:00-17:00

本講演では、言語、文化、知覚、認知がさまざまな領域でどのように相互作用しているかについて議論します。講演の最後には、このようなプロセスを経て、文化的アイデンティティがどのように形成されるかを考察します。


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