GPAI仕事の未来:Future of Work Survey Report 2023 - 東京カレッジ

GPAI仕事の未来:Future of Work Survey Report 2023

日時:
2024.03.06 @ 10:00 – 12:00
2024-03-06T10:00:00+09:00
2024-03-06T12:00:00+09:00

「GPAI仕事の未来:Future of Work Survey Report 2023」開催報告

 

日時:2024年3月6日(水)10:00-12:00

会場:Zoomウェビナー

主催:東京大学国際高等研究所東京カレッジ

 

GPAI「仕事の未来」作業部会と日本における調査について

GPAI(Global Partnership on AI、AIに関するグローバルパートナーシップ)とは、人間中心の考え方に基づく「責任あるAI」の開発・利用の実現に取り組む国際的なイニシアティブである[1]。GPAIにはいくつかの作業部会が設置されており、そのうちの一つに「仕事の未来(Future of Work)」作業部会がある。この作業部会のプロジェクトの一環として、仕事の現場にAIが導入されていく中で私たちの働き方がどのように変化していくのかについて、現場の状況を国際議論に反映することを目的に、学生主体のインタビュー調査による参加国における継続的な事例の収集が行われてきた。複数の大学からの参加による日本チームも、2021年度よりこの調査に加わっており、2023年度は日本チームとしての3年目の活動となった[2]

本イベントでは、2023年度に実際に「仕事の未来」の調査に関わった学生と教員が登壇し、次のようなプログラムで、日本で行われた調査の概要や得られた知見の一部を紹介するとともに、調査の意義や課題について議論を行った。

  1. 開会挨拶
  2. GPAI Future of Work紹介
  3. 日本の調査概要報告
  4. 学生によるパネルディスカッション
  5. 教員によるパネルディスカッション
  6. 閉会挨拶

それぞれで行われた議論の内容について、次節以降、簡単に紹介する。

開会挨拶

本イベントの開会にあたり、江間有沙・東京大学准教授から開会挨拶があった。

GPAI「仕事の未来」専門委員でもある江間准教授は、2023年度に日本で行われた「仕事の未来」の調査について議論するという本イベントの趣旨について説明するとともに、国際的なネットワークとしてのGPAIの意義や、日本のGPAIへの継続的な貢献についても述べた。さらに、今春にはGPAI東京センターが設立されることに触れ、GPAIに関わる活動が、日本において今後さらに幅広く活発になることへ、期待を表明した。

 

GPAI Future of Work紹介

次に、原山優子・東北大学名誉教授から、GPAIと「仕事の未来」作業部会について紹介があった。

GPAI専門委員で2020-21年「仕事の未来」共同議長でもあった原山名誉教授は、2019年の「AIに関するOECD原則(OECD Principles on AI)」を起点に、G7の枠組みでの議論を経て、カナダとフランスのリーダーシップにより2020年6月にGPAIが正式に設立されたことを述べた。さらに、現在の参加国は28カ国+EUであり、産官学民からの参画によるマルチステークホルダーでの議論が進められていること、人間中心の「責任あるAI」の開発・利用において理論と現場とをつなぐ役割を担っていることなどを紹介した。

GPAIの四つの作業部会のうちの一つ「仕事の未来」作業部会は、26名の専門家で構成され、各国の事例の比較などを通し、AIが仕事に与える影響やその対応などについて、集合知の形成を図っているという。原山名誉教授は、現在「仕事の未来」で進められている複数のプロジェクトを紹介し、生成AIや非G7国への注目という流れに言及した。また、プロジェクトの一環として、現場の状況を国際議論に反映することを目的に、学生主体のインタビュー調査による参加国における継続的な事例の収集が行われてきたことを紹介し、本イベントで紹介される日本での調査も「仕事の未来」による2024年度の報告書に反映されると述べた。

 

日本の調査概要報告

続いて、江間准教授から、2023年度に日本で行われた「仕事の未来」のインタビュー調査について、その概要の報告があった。

江間准教授によれば、調査を行った日本チームは2023年度、同志社大学、東洋大学、東京大学からの参加があり、原山名誉教授、江間准教授、宮﨑光世・兵庫大学教授らによって運営がなされた。前年度までに続き学生が主体となってインタビュー調査を行い、了承が得られた場合には学生自身の研究にも調査を活用した。インタビュー調査は主に企業・自治体を対象とし、実際に学生の関心等に応じた12産業分野(IT、監査、コンサルティング、情報・通信、金融・保険、酒類・飲料、製造、物流、不動産、エンターテインメント、教育、自治体)にわたる27件の調査が行われた。インタビューにおける質問の内容は、全体に共通の内容をベースにしつつ、インタビュー先に応じて各学生が構成し、AIシステムそのものや、システムと人間との関わりなどについて、倫理的な観点等も交えながら尋ねるものとなっている。

調査結果の簡単な分析として、江間准教授は、GPAIで設定されたAIシステムのカテゴリーを参照しながら、2023年度の調査では、知識や情報を提供することで人の認知を拡大/支援する「デジタル・コワーカー」や、人の認知作業を代替する「人の代替」に当てはまるAIシステムの事例が多く得られ、「自律型サービスプラットフォーム」に当てはまるシステムの事例は少なかったことなどを述べた。また、インタビュー先となった企業・自治体等の     関係者に感謝を表明するとともに、学生とインタビュー先とのネットワークのさらなる維持・強化に取り組みたいと述べた。

 

学生によるパネルディスカッション

パネリスト:潮田真之助・同志社大学学部生、森唯花・同志社大学学部生、

      長澤侑生・東洋大学学部生、栗林諄・東京大学大学院修士課程学生

司会:          江間有沙・東京大学准教授

 

学生によるパネルディスカッションでは、2023年度の調査に関わった4つのゼミ等を代表する学生4名が登壇し、江間准教授の司会で、調査を通して得た知見や気づきなどについて議論した。

物流業界を調査した潮田真之助・同志社大学学部生は、荷物量を予測するAIシステムの事例を挙げ、誤差数パーセントで荷物量の予測が可能になっていることを述べた上で、人員やトラックの配置のためにAIシステムを利用したとしても、労働集約型産業において労働力の確保などは依然として残る課題であるとの認識を示した。

情報・通信業界を調査した森唯花・同志社大学学部生は、AI自動モザイクソフトの事例を挙げ、導入によって作業の効率化、経費の削減、働き方の改善などが見られたと述べた。その上で、調査を通して得た発見として、当初想定していた放送業界における普及は企業間の分業の中で一部の企業の仕事を奪いうるという困難を伴うこと、交通業界、小売業界、医療業界等において個人情報保護の観点からニーズがあることなどを示した。

監査業界を調査した長澤侑生・東洋大学学部生は、中小監査法人におけるAIの導入がほとんど進んでいないことを述べ、その要因として、費用の問題、会計士のデジタルスキルの問題を挙げた。その上で、これらの問題に対しては、個人や法人のレベルでの自助努力に加え、国や業界のレベルでのサポートが考えられると述べた。

江間准教授からは三氏に対し、調査した業界で自らが近い将来に働くとしたらどのようにAIと仕事を進めていくと思うか、という問いかけがあった。この問いかけに対して、物流業界を調査した潮田氏は、業界におけるさらなるAI普及の潜在的な余地などに言及しつつ、あくまでも人間は補助としてAIを用いることになるとの認識を示した。情報・通信業界を調査した森氏は、個人情報保護に関わるAI技術はさらなる発展の可能性が大きいとして、人間の価値観・倫理観等のAIへの反映が求められる場面も想定されると述べた。監査業界を調査した長澤氏は、AI-OCRのさらなる活用可能性に言及し、定型的・単調なタスクをAIに任せて人間はより知的なタスクを集中的に担うようになるとの認識を示した。

エンターテインメント業界を調査するとともに日本チームによる調査の運営をサポートした栗林諄・東京大学大学院修士課程学生は、フリーランサーの仕事がAIの影響を受けたという、自らの調査した事例に言及し、企業・自治体のAIシステム(サービス)開発・導入等担当者らに限らないインタビュー調査の重要性を提起した。これに対して江間准教授は、調査の難しさにも言及した上で、昨今の生成AIの普及なども踏まえ、アプローチしにくい個々人の声を拾うことはますます重要になっている、と応じた。

 

教員によるパネルディスカッション

パネリスト:藤本昌代・同志社大学教授、勝野宏史・同志社大学准教授

      中野雅史・東洋大学教授、宮﨑光世・兵庫大学教授

司会:          原山優子・東北大学名誉教授

 

教員によるパネルディスカッションでは、2023年度の調査に関わった教員4名が登壇し、原山名誉教授の司会で、調査の指導を通して得た知見に加え、調査の意義や課題について議論した。

まず2023年度に指導した調査の大枠について、藤本昌代・同志社大学教授は、幅広い産業分野への産業社会学的な観点からの調査となったこと、勝野宏史・同志社大学准教授は、情報・通信やエンターテインメント業界へのメディア学的な関心からの調査となったことを述べた。また、両氏はいずれも、調査においてインタビュー可能な企業・自治体等を探すことが、前年度までに比べて難しくなったと述べた。中野雅史・東洋大学教授は、学生の専門・関心に応じて監査業界とIT業界への調査を指導したこと、とりわけ監査業界については、前年度の大手に対して、2023年度は中小監査法人に焦点が当てられたことを述べた。日本チームの調査全体を支援し、企業・自治体等との橋渡しを担った宮﨑光世・兵庫大学教授は、調査対象となった企業・自治体等の多くが、前年度と比べ、より深く真剣にAIと関わるようになり、そのことで、学生と企業・自治体等との双方にとって、調査が簡単なものではなくなってきていたとの認識を示した。

続いて各氏は、2023年度の調査の指導を通して得た、仕事の現場についての知見や気づきに関して、特に前年度までからの変化に焦点を当てて、議論した。藤本教授は、従来主に見てきたパイオニア的にAIを扱う現場のみならず、2023年度の調査では、AIシステム・サービスについて強い必然性が感じられない状況で導入され、十分な知識を与えられないまま利用者が手探りで扱うような現場にも出会ったと述べた。勝野准教授は、対話型AIサービスの事例を挙げ、利用者もAIサービスの特性について共通認識を持った、アジャイルなサービス開発・提供の風土が日本でも一部でできつつあることを感じたと述べた。中野教授は、人間が新規事業など人間にしかできない仕事をするためAIを用いるという考え方が見られたことや、とりわけ監査業界においては、AIのアウトプットをどのように受け入れるか、AI利活用の進展における二極化にどのように対するかといった問題に直面していることを述べた。生成AIの現状について特に尋ねられた宮﨑教授は、生成AIが各企業にAIについての見直しを迫ったと述べた上で、実装の観点で、仕事の現場に大きな変化をもたらすに至るにはまだ少し時間がかかるとの認識を示した。各氏はさらに、調査の意義や課題について議論した。調査の意義については、単に知見を得ることのみならず、学生が主体となってグローバルなプロジェクトに参加し、リアルタイムで社会の変化を調査できることの貴重さや、企業・自治体等とのやりとりを通して学生が強みを持った社会人へ向けて育てられていることなどが述べられた。調査の課題については、より有意義な知見を得るために、単にインタビュー調査の件数を積み上げるだけでなく、事例をより深く掘り下げたり、国際間の比較を行うなど、さらなる取り組みが求められること、OB・OGやインタビュー先を含めたネットワークの維持・強化が求められることなどが述べられた。

パネルディスカッションの最後には、一般の参加者から寄せられた質問を起点とした議論も行われ、仕事の現場におけるAIとの関わり方は、産業分野のみならず、企業・自治体等の規模、風土、地域、従業員・職員の世代、学歴など、様々な要素によっても変わってくるとの認識が確認された。さらには、メンバーシップ型雇用におけるリスキリングなどにも話題は及び、原山名誉教授は、今後の調査におけるさらなる掘り下げの必要性を述べて議論を締め括った。

 

閉会挨拶

本イベントの閉会にあたっては、飯田陽一・総務省情報通信国際戦略特別交渉官から閉会挨拶があった。

飯田特別交渉官は、日本が2016年頃から現在に至るまで、G7やOECDをはじめとする場におけるAIについての国際的な議論をリードしてきたことを述べ、GPAIの取り組みの重要性、来るGPAI東京センター設立の意義を強調した。その上で、多様なステークホルダーによる議論が求められる中で日本における「仕事の未来」の調査が、インタビュー先の協力を得て、学生を育てながら行われていること、またその調査を紹介する本イベントが多くの参加者を得て行われたことについて感謝を述べ、本イベントを締め括った。    

(上段左から)原山氏、江間氏、飯田氏

(中段左から)宮崎氏、藤本氏、勝野氏、中野氏

(下段左から)潮田氏、森氏、栗林氏、長澤氏

 

(報告書原案作成:栗林諄)

 

[1] GPAIウェブサイトhttps://gpai.ai/

[2] 「GPAI仕事の未来 2022年調査報告書」https://ifi.u-tokyo.ac.jp/project-news/16971/

終了しました
Zoomウェビナー
開催日時 2024年3月6日(水)10:00-12:00
会場

Zoomウェビナー(登録はこちら

申込方法 事前申込制
言語 日本語
要旨

要旨

2020年6月に設立されたGPAI(Global Partnership on AI、AIに関するグローバルパートナーシップ)は、「人間中心」の考えに基づく責任あるAIの開発と使用に取り組む国際的なイニシアティブです。GPAIにはいくつかの作業部会が設置されており、その中には「仕事の未来(Future of Work)」を議論する部会があります。

 

この部会のプロジェクトとして、職場にAIが導入されていく中、どのように私たちの働き方が変化していくのかについて国際的なインタビュー調査を世界各国で行っています。本調査のユニークな手法として、これから未来を担っていく学生たちがインタビューを企業にしている点にあります。

 

本イベントでは2021年度、2022年度に続いて、今年度に行われた調査の概要を紹介し、実際にインタビューに関わった学生の皆さんや教員にもご登壇いただいて、調査から分かった「仕事の未来」や調査法の可能性と課題について議論を行います。本調査にご関心をお持ちの企業や組織の皆さんや学生の皆さんとともに、今後の展開について議論します。

 

参考
GPAIウェブサイト(英語)
GPAI Future of Work作業部会ウェブサイト(英語)
GPAI Future of Workの報告書(2021年~2023年)(英語)
GPAIの紹介(日本語)
GPAI Future of Work Group Video(英語)
GPAI Interview with Yuko Harayama(英語)
GPAIサミット2022の報告(日本語)
GPAI SUMMIT 2022「仕事の未来」サイドイベント-学生コミュニティとの対話(イベント開催報告)
GPAI雇用の未来について考える:海外と日本から得られた知見(イベント開催報告)
GPAI雇用の未来:Future of Work Survey Report 2021 報告(イベント開催報告)

GPAI仕事の未来:Future of Work Survey Report 2022 報告(イベント開催報告)

GPAI仕事の未来 2022年調査報告書

プログラム

10:00-10:05   開会挨拶

江間有沙(東京大学東京カレッジ・准教授)

10:05-10:20   GPAI Future of Work紹介

原山優子 (東北大学名誉教授/GPAI「仕事の未来」2020-2021年共同議長)

10:20-10:30   日本の調査概要報告

江間有沙

10:30-11:00   学生によるパネルディスカッション

パネリスト:

潮田真之介(同志社大学)

森唯花(同志社大学)

長澤侑生(東洋大学)

栗林諄(東京大学)

司会:江間有沙

11:00-11:40   教員によるパネルディスカッション

パネリスト:

藤本昌代 (同志社大学社会学部・教授)

勝野宏史 (同志社大学社会学部・准教授)

中野雅史 (東洋大学総合情報学部・教授)

宮崎光世 (兵庫大学現代ビジネス学部・教授)

司会:原山優子

11:40-12:00   閉会挨拶

飯田陽一 (総務省国際戦略局情報通信国際戦略特別交渉官)

 

主催 東京大学国際高等研究所東京カレッジ、共催:東京大学未来ビジョン研究センター&同志社大学働き方と科学技術研究センター&東洋大学総合情報学部、協力:日本ディープラーニング協会、後援:総務省、経済産業省
お問い合わせ tg-event@tc.u-tokyo.ac.jp

Upcoming Events

開催予定のイベント

ハッキングの文化史(講師:Federico MAZZINI教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年6月24日(月)15:00-15:45

本講演では、1960年代の米国の大学で誕生したと言われているハッカー文化を、より長い歴史的文脈に位置付け考察する。歴史は19世紀末のSF小説から始まり、1910年代のハムラジオ、1970年代の「電話ハック」、そして20世紀末のコンピューター・ハッカーへと続く。本講演では、ハッカーや初期のハッカーたちが自分たちについて何を書き残し、また彼らが活字メディアにどのように受け止められていたかを議論する

出版記念会:「キーウの遠い空-戦争の中のウクライナ人」(講師:Olga KHOMENKO氏)

イベント予定講演会/Lecture

2024年6月28日(金)15:30-16:30

2023年7月25日、中央公論新社からホメンコ氏の著書『キーウの遠い空─戦争の中のウクライナ人 』が出版された。ウクライナ戦争を独自の視点でとらえた一冊である。
この本は、ホメンコ氏がウクライナで体験した戦争や、家族、友人、元教え子から聞いた話に基づいて執筆された。ホメンコ氏は2022年の初めに日本のメディアの取材で、ウクライナの歴史や文化に関するインタビューを受けたが、その際の質問が、ウクライナの歴史に関する知識をあまりにも欠いていたため、インタビューに応じる代わりにウクライナ人の声を届けるために日本語で本を執筆することにした。

今日は「ディスインフォメーション」の時代か、それとも「戦略的コミュニケーション」の時代か?(講演者:Neville BOLT氏)

講演会/Lecture

2024年7月22日(月)14:30-16:00

「ディスインフォメーション」と「戦略的コミュニケーション」は、関連しつつも異なる概念である。にもかかわらず、しばしば同じ意味だと誤解されている。ネビル・ボルト氏は、21世紀初頭より世界中の政府の注目を集め、盛んに論じられてきた「ディスインフォメーション」と「戦略的コミュニケーション」という2つの重要な概念について論じる。

Previous Events

公開済みイベント

グローバリゼーションの未来: 歴史の視点から(講演者:Bill EMMOTT氏)

イベント予定講演会/Lecture

2024年6月4日(火)16:00-17:30

グローバリゼーション―貿易、金融、思想を通じた国々のつながり―は後退しているように見える。各国政府は地政学的な緊張により、経済的保障を優先させ「リスク回避」に努めている。しかし、グローバリゼーションの後退が言われるのは、これが初めてではない。歴史を振り返ることで、どのような要因が今後のグローバリゼーションの行方を真に左右するのか理解することができるだろう。

日本における同族経営医療法人(講演者:Roger GOODMAN教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年5月30日(木)14:00-15:30

日本では、病院の約80%とクリニックの約90%が私立であり、これらのうち約75%が同族経営である。本講演では、日本の医療制度の運営全体の文脈における同族経営医療法人の発展と意義を説明し、先行研究でまだ明らかにされていない部分に注目する。

21世紀の中央銀行(講演者:Luiz Awazu PEREIRA DA SILVA教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年5月29日 (水)15:00-16:30 JST

21世紀の中央銀行は、5つの岐路に直面している(1. インフレとその不透明性の再現、2. 気候変動、3. 不平等、4. デジタル金融イノベーション、5. 人工知能)。これまで、中央銀行は課題に直面した際、分析的思考を強化し、適切にリスクを均衡させ、最善の道を選択してきた。現在、中央銀行が直面する新たな課題は、中央銀行がそれらの挑戦的な影響を慎重に特定し、分析する必要があることを示唆している。

「西洋」という虚構とその仮想的同一性:人類学的差異について(講演者:酒井直樹教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年5月17日(金)14:00-15:30

近現代世界の国際的な景観は、近世における「ヨーロッパ」の出現以来、人類学的差異への投資によって形成されてきた。ヒューマニタスとアントロポスを区別するこの差異は、事実的な規範というよりも、むしろ規制的な理念として人類の行く道を導く予期的なものである。それは、ヨーロッパ/アジア、西洋/東洋、白人/有色人種といった二項対立を統合し、複雑な帰属関係を育む。本講演では、ヨーロッパ文化、西洋文明、有色人種を排除した人種にみられる白人性のアイデンティティ・ポリティクスについて掘り下げる。しかし、真の帰属意識は依然として仮定のものであり、非ヨーロッパ的、非西洋的、非白人的なものとの対比を通してのみ実現される。

永久凍土を考える(講演者:Sabine DULLIN教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年5月14日 (火)16:30-18:00

本講演では、居住する先住民コミュニティにとって自然で意味のある土地であった永久凍土が、いかに科学的問題として発見されたのか検討する。そして、21世紀初頭、ヤクーツクなど北極圏の準州における主権の模索において、永久凍土がどのように政治的意味を帯びたかを論じる。

グローバルヒストリー史家のアーカイブとは何か?(講演者:Martin DUSINBERRE教授)

イベント予定講演会/Lecture

2024年5月10日(金)10:30-12:00

本講演では、アジア各地域と太平洋水域を航行した「山城丸」の軌跡を追いながら、19世紀後半、ハワイや東南アジア、オーストラリアで働くために日本を離れた移民たちの生活を革新的な視点から考察する。これらの物語は、入植者植民地主義、労働史、資源採掘に関する環太平洋の歴史研究を新たな方法で結びつける。本講演では、非伝統的な、実物性の高いアーカイブをもとに、グローバル・ヒストリーの記述における方法と記述者の立ち位置に関する重要な問題を取り上げる。


TOP