東京カレッジ講演会「生命の燃料」講師:ジョン・ウォーカー - 東京カレッジ

東京カレッジ講演会「生命の燃料」講師:ジョン・ウォーカー

日時:
2019.09.30 @ 16:30 – 18:00
2019-09-30T16:30:00+09:00
2019-09-30T18:00:00+09:00
東京カレッジ講演会「生命の燃料」講師:ジョン・ウォーカー

東京カレッジ講演会「生命の燃料」が開催されました

2019年9月30日(月)、東京カレッジとTokyo ATPase Workshop共催の講演会「生命の燃料」が開催されました。野地博行教授(東京大学)の司会進行で、大竹暁教授(副カレッジ長)による開会の挨拶および趣旨説明の後、吉田賢右教授(京都産業大学)のお話に続き、ノーベル化学賞受賞者であるジョン・ウォーカー教授(ケンブリッジ大学)が講演を行いました。

まず、生化学者の吉田賢右教授(京都産業大学)は、「細胞はどうATPを造るのか:示唆と展望」というテーマで、生物エネルギーの源であるATPサイクルの仕組みの原則と専門的な酵素の話について解説しました。

続いて、ATP合成酵素の研究の世界的なリーダーであるジョン・ウォーカー教授は、あらゆる生命活動の燃料となるATPの基礎知識から、ATP合成酵素の起源、そして医療、また人類の未来のためにATP合成酵素をどのように生かすことができるのかといった今後の活用方法について説明しました。

生命の燃料であるATPは、ミトコンドリア内で生成され、水と相互反応することでエネルギーが放出されて、リン酸、次にアデノシン二リン酸(ADP)ができ、そして合成酵素を使用することにより、この二つが加水分解されてATPが循環します。この基礎的な知識に基づき、ウォーカー教授はATP合成酵素について、感染症や薬剤耐性といった生物遺伝学や臨床医学の観点などから解説しました。ウォーカー教授は、感染症の歴史とその治癒についても言及し、酵素全体の構造解明の研究がベダキリンと呼ばれる新薬剤の開発の更なる改良に繋がり、製薬として使用する道が開かれることにより医薬品化学への貢献をもたらすと説明しました。

講演の後半、ウォーカー教授は自身の人生哲学について言及しました。ケンブリッジ大学時代の師でノーベル賞受賞者のフレデリック・サンガー教授との対話を例に挙げ、失敗に遭遇したときの心構えや失敗からの学び、試行錯誤しながら最終的に成功するまで諦めないことの重要性など、失敗を恐れてはならないというメッセージを伝えました。また、人生の巡り合わせについても、自身の研究の変遷になぞらえて話しました。

講演後の質疑応答では、研究に纏わる専門的な質問から、研究に対するモチベーション、EU離脱についてなど、フロアからは様々な質問が寄せられ、ウォーカー教授はその一つ一つに対して丁寧に時折りユーモアを交えて回答しました。

終了しました
開催日時 2019年9月30日(月)16:30-18:00(16:00開場)
会場

東京大学・山上会館大会議室(本郷キャンパス)

申込方法 事前申込制。60名(先着順、参加無料)
言語 日本語、英語(同時通訳有)
主催 東京大学国際高等研究所東京カレッジ
お問い合わせ tcevent@graffiti97.co.jp

Upcoming Events

開催予定のイベント

デジタル革命:データが導く21世紀の繁栄に向けて

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2022年12月10日(土)10:00-11:00(9:30開場)

インド産業界を牽引するタタ・グループの150年の成功を支えた伝統から学ぶべきこと、またAI、人々の働き方、データセキュリティなど、現代社会が直面するさまざまな課題への適応、さらに日印協力における両国のさらなる繁栄に向けた展望について、タタ・グループ会長よりお話しいただきます。

独裁者との対話:北朝鮮との首脳外交によって得ることと失うこと

イベント予定対話/Dialogue

2022年12月15日(木)16:00-17:30

北朝鮮のような「ならず者国家」との首脳会談を行うことで何が得られるのか。それは、独裁政権に威信と正当性を与えるというリスクを冒してまでも手に入れるべきものなのだろうか。二人の講演者が、これらの疑問について批判的な討議を展開する。
Alastair MORGAN大使は2018~19年の北朝鮮との首脳会談について議論し、Meredith SHAW博士は北朝鮮の国内プロパガンダで首脳会談がどのように描かれているのかを解説する。

岐路に立つ高等教育 – 高等教育と社会のために未来のシナリオを描く

イベント予定対話/Dialogue

2022年12月16日(金)12:00-13:00

世界中の高等教育は、グローバル化、真理の境界条件の変化、テクノロジーの影響、地政学的な不確実性、「脱植民地化」の呼びかけなど、数多くの要因による複合環境の中で大きな変化を経験している。このセミナーシリーズでは、それらの要因が高等教育の未来に与える影響について検討する。

緊急事態と批判的大学研究の課題

イベント予定対話/Dialogue

2023年1月18日(水)14:00-15:00

世界中の高等教育は、グローバル化、真理の境界条件の変化、テクノロジーの影響、地政学的な不確実性、「脱植民地化」の呼びかけなど、数多くの要因による複合環境の中で大きな変化を経験している。このセミナーシリーズでは、それらの要因が高等教育の未来に与える影響について検討する。

Previous Events

公開済みイベント

講演会「大地震の前に地下で起きること、社会がやっておくべきこと」講師:Yehuda BEN-ZION教授

イベント予定講演会/Lecture

2022年12月6日(火)13:15-14:45

本講演では、地球物理的観測、室内実験、モデリングの発展を通して、大地震が発生するまでの物理的なプロセスについての根本的な理解を深める必要性について、また同時に、構造モニタリングや早期予測の精緻化、耐震基準の見直し、コミュニティ教育活動など社会の大地震に対する備えを改善する重要性について考えます。

「日本経済ー外からの見方の移り変わり」講師:Jenny CORBETT 東京カレッジ招聘教員

イベント予定講演会/Lecture

2022年11月24日(木)16:00−17:30

マルコ・ポーロがチパングを黄金の国として描いて以来、海外の人々は日本の経済に魅了されてきた。 その数世紀後には、コロンブスがこの国を発見するために航海に出た。 外部からの観察者の記述は必ずしも正確ではなかったかもしれないが、しばしば影響を及ぼしてきた。 本講演では、日本経済に関する英語文献の中で最も重要な議論を取り上げ、この半世紀の間に主要なテーマがどのように変化してきたのかを考察する。

【開催中止】現代の女性と中世の魔女ーフェミニズムへの新たな視点

イベント予定講演会/Lecture

【開催中止】2022年11月9日(水)18:30-20:00(18:00開場)

モナ・ショレ氏は、ヨーロッパのフェミニズムの議論に大きな影響力を持つ気鋭のジャーナリスト、エッセイスト。仏でベストセラーとなった著書『魔女ーー女性たちの不屈の力』(翻訳版)の刊行を機に在日フランス大使館の招きで来日。ヨーロッパ中近世を席巻した魔女狩りの歴史を掘り起こし、「女性蔑視」という現代社会の災厄と結びつけて論じる。日本における女性学のパイオニアとしてフェミニズムを長年牽引してきた上野千鶴子氏が、女性の今と今後の展望を中心に、ショレ氏と徹底討論。

「原発に異を唱えたノーベル賞学者 ー ハンネス・アルヴェ―ンと20世紀の科学者像」 講師:Svante LINDQVIST氏(東京カレッジ潮田フェロー)

イベント予定講演会/Lecture

2022年11月4日(金)17:00−18:30

1970年、スウェーデンの物理学者ハンネス・アルヴェーンがノーベル賞を受賞した。この国際的な科学界からの評価によって、彼の国内での声望は高まり、そのスウェーデンの原子力政策に対する批判は力を得た。1980年にアルヴェ―ンがスウェーデン王立工学アカデミー会員を辞職したことは、今日においても私たちを悩ませる原子力政策への意見の対立を物語っている。


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