Cintia Kozonoi VEZZANI - 東京カレッジ
東京カレッジ
ポストドクトラル・フェロー

Cintia Kozonoi VEZZANI

Eメール vezzani.cintia@mail.u-tokyo.ac.jp
01 研究概要

読書する女性は危険である。これは 19 世紀ブラジルの男性作家の間での共通認識であった。小説に影響を受けすぎた女性はロマンチックな空想に流されやすく、妻や母親としての役割を無視する傾向があると彼らは主張したのである。当時、女性の識字能力の普及は、社会を不安定にするものと認識されていた。博士課程の研究では、こういった姿勢の進化を記録すると共に、それがその時代のフィクションをどのように形成したのか、先駆的な女性小説家がこのまん延する風潮に対してどのように対応したのかを明らかにした。Júlia Lopes de Almeidaの作品で例えるならば、フィクションは、女性が自分自身だけでなく、社会全体の未来を思い描くことのできる手段となった。東京カレッジでは、19 世紀の識字率の向上から、21 世紀の識字率の低下への抗議について取り組みたい。私たちの生きる時代には、私たちの集中力を逸らすよう意図的に設計されたデジタルの誘惑や邪魔が遍在している。最先端のテクノロジーを駆使し、絶え間ない妨害で私たちの意識の焦点を阻害する頭の良い人々が世界中にいる一方で、多くの研究が、最も価値があり充実した労働形態には、長時間の持続的な集中力が必要であると示している。注意力が萎縮している時代に、そういった形態の労働をするために、私たちはどうあるべきか。私たちの脳の驚異的な世界構築能力に由来する文芸小説は、周囲のアルゴリズムの誘惑へ打ち勝つため、自分自身を訓練する方法になり得ると考える。21 世紀において、長時間集中する能力は最も価値のあるスキルの 1 つとなるだろう。研究を通して、文学がその能力を伸ばすのにどのように役立つかを説明していきたい。

02 経歴

経歴

2023年 東京大学東京カレッジ ポストドクトラル・フェロー

2021 年 ノースウェスタン大学 博士号取得 スペイン語およびポルトガル語

2020 年 ノースウェスタン大学 バフェット研究所 グローバルインパクトフェローシップ

2018 年 ノースウェスタン大学およびソルボンヌ ヌーベル大学 批評理論パリ・プログラム 修了

2012 年 サンパウロ大学 ブラジル・ポルトガル・フランス文学部 卒業

2010 年 リュミエール リヨン第 2 大学 ポルトガル・フランス文学コース修了

03 研究業績

[under review] “Judging Capitu: Placing Dom Casmurro in the Tradition of Adultery Novels.” Approaches to Teaching World Literature: Joaquim Maria Machado de Assis. (Eds. Pedro Meira Monteiro; Hélio de Seixas Guimarães). MLA Press.

[under review] “Querida Amiga, Querido Amante, Cara Leitora: Mulheres e Cartas em O Marido da Adúltera e Correio da Roça.” Uma história feminista da literatura brasileira. (Ed. Laboratório Feminista UFRJ). Editora Papéis Selvagens.

“On Moral and Financial Bankruptcy: Adultery and Financial Speculation in A falência by Júlia Lopes de Almeida.” Comparative Perspectives on the Rise of the Brazilian Novel. (Eds. Ana Cláudia Suriani; Sandra Guardini Teixeira). UCL Press, 2020. 297–315.

“Trees, Lungs, and Gender.” Living With Plagues: New Narratives for a World in Distress. Buffett Institute for Global Affairs, https://doi.org/10.21985/n2-fefe-3s55

“Dans l’abîme.” Non Plus – Revista Discente da Área de Frances – USP, vol. 4, 2013, online journal, http://www.revistas.usp.br/nonplus/article/view/61956

“Flashes intermitentes: a presença da fotografia em Dom Casmurro.” Machado de Assis em linha, n. 10, ano 5, Dec. 2012, online journal, https://doi.org/10.1590/S1983-68212012000200010

04 受賞歴

2021年 英語 PEN 翻訳賞受賞、Júlia Lopes de Almeida著『The Bankruptcy』  Cintia Kozonoi Vezzani および Jason Rhys Parry (UCL Press)

2017 年 社会科学研究評議会(SSRC)が主催する学位論文提案作成(DPD)プログラム参加、アンドリュー・W・メロン財団 予備夏季研究助成金獲得

2010 年「SLAM 2010」の優勝、および在ブラジルフランス大使館のアヴィニョン劇場フェスティバルで開催された「Rencontre Internationale de Jeunes」へ参加


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