連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」②暮らしと社会 - 東京カレッジ

連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」②暮らしと社会

日時:
2020.06.23 @ 10:00 – 11:30
2020-06-23T10:00:00+09:00
2020-06-23T11:30:00+09:00
連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」②暮らしと社会

東京カレッジ連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」において、暮らしと社会をテーマとした第2回目のオンラインシンポジウムが6月23日(火)に開催されました

コロナ危機がもたらした新しい暮らしと今後の社会がどのようなものになるのかは、重要なテーマです。司会の横張真教授(工学系研究科)は、都市の歴史は公衆衛生の改善の歴史でもあったと語りました。都心におけるexclusiveな住宅地の形成と同時にSocial exclusionによるdistancingが始まったと述べ、コロナ危機をinclusiveな社会の形成に結びつけることができるかについて議論しました。小熊久美子准教授(工学系研究科)は『都市の発展と感染症:「これまで」と「これから」』と題した報告で、これまで、感染症が都市の発展に影響した史実を多数紹介しました。都市へ人口が流入し、過密で不衛生な生活環境において感染症が蔓延し、衛生インフラの整備の上にさらなる都市の拡大・発展がみられたと言います。過去の事例と比べたwith/postコロナの特徴は、都市の発展期(人口増加・劣悪な衛生環境)ではなく、飽和~縮退期(人口減少・高齢化)の中で発生しているとし、停滞基調の中で災禍から復興しなければならないと述べました。また、通信の存在、「接続しない自由」(逃げ場)、選択肢の増加、inclusive社会実現の駆動力などの課題について説明しました。加藤耕一教授(工学系研究科)は『1000年の時間スケールから考える社会変動と都市・建築』と題した報告で、中世後期の「小氷河期」の始まりに起こった気候変動、大飢饉、戦争、ペスト の疫病などが建築にもたらした影響について説明し、巨大なゴシック大聖堂の建設が未完成に終わったことにも言及しました。大橋弘教授(公共政策大学院長)は『コロナ危機を経て暮らしと社会が「得たもの」と「失ったもの」』と題した報告で、現在の感染症パンデミック以外にも、様々なグローバルリスクが存在することを指摘し、現在は本格的なEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング/証拠に基づく政策立案)が必要であると強調しました。

終了しました
YouTubeライブ配信
開催日時 2020年6月23日(火)10:00-11:30
会場

東京カレッジYouTubeチャンネル (https://www.youtube.com/watch?v=aKhmCBHKIj0)

言語 日本語(Japanese language only)
要旨

コロナ危機とその後の世界を考える際に重要な6つのテーマを設定し、それぞれについて専門家同士が座談会形式で討議する連続シンポジウム「コロナ危機を越えて」②暮らしと社会

19世紀西欧において近代都市計画が誕生した背景のひとつが、産業革命による急激な都市への人口集中がもたらした衛生環境の悪化とその改善であったように、都市文明の歴史は、感染症対策をはじめとした衛生環境改善の歴史でもあった。今般の新型コロナウイルス感染症の拡大は、しかし、とくに日本にあっては、劣悪な衛生環境によりもたらされたものではないこと、人口の減少・高齢化を基調とした社会において発生していること、ITをはじめとしたデジタル技術の急速な進化・普及があること等、これまでとは異なる文脈のもとで、その対策と将来を展望する必要がある。本セッションでは、こうした問題意識のもと、公共政策、建築、都市計画、衛生工学等の面から、今後の日本におけるWith/Post Coronaの暮らしと社会を展望する。

プログラム

コーディネーター:横張真(工学系研究科教授)

登壇者:小熊久美子(工学系研究科准教授)、加藤耕一(工学系研究科教授)、大橋弘(公共政策大学院長)

主催 東京大学国際高等研究所東京カレッジ

Upcoming Events

開催予定のイベント

クラウドソーシング・ヘルスケアの未来(講演者:Simo HOSIO教授)

イベント予定講演会/Lecture

2023年10月3日(火)16:30-18:00

人工知能は、近い将来ヘルスケアに革命を起こす可能性を秘めています。本講演では、さまざまなデジタル技術の組み合わせ、メンタルヘルスに関する現在進行中の事例研究、そして、クラウドソーシングを用いた大規模拡張が可能なオンライン実験における文化の違いや人的要因に光を当てたHosio教授のデジタルヘルスに関する研究を紹介します。

分断が進む世界における国際租税の枠組み(講演者:Pascal SAINT-AMANS教授)

イベント予定講演会/Lecture

2023年10月20日(金)16:00-17:30

この15年で、国際租税の枠組みは劇的に変化しました。租税条約や移転価格税制といった伝統的な制度が改定され、脱税や租税回避への対策を強化する新しいルールが導入されました。特筆すべきは、大規模な多国籍企業に対して15%グローバル・ミニマム税が課されることです。これらの変更はG20の指導のもとで100カ国以上で実施されており、各国間の租税に関する協力を促しています。地政学的な分断とグローバルガバナンスの課題の面において、これら改革はどのような影響を受けるのでしょうか。

現代韓国の文化と民主主義(講演者: KIM Hang教授)

講演会/Lecture

2023年10月24日(火)10:30-12:00

いわゆる"K"を冠した韓国発の文化が日本のみならずグローバルに人気を博している。今回の講演ではこうした現状を、1990年代後半からの韓国における政治・経済・社会変動において理解することをテーマに据える。それにより現代韓国における文化と民主主義の関係、そして何かと荒波が止まない日韓関係を考える際のささやかなヒントを共有するきっかけになることを願いたい。

世界文学と翻訳 「The Bankruptcy」翻訳出版を記念して

シンポジウム/Symposium

2023年10月26日 (木)19:00-21:00 JST (ロンドン: 11:00-13:00; サンパウロ: 7:00-9:00am; ニューヨーク: 6:00-8:00am)

小説「The Bankruptcy」(Júlia Lopes de Almeida著)の新訳は、受賞をきっかけに世界に知られるようになりました。翻訳出版を記念し、本シンポジウムでは、担当翻訳者、編集者、また、研究者らが世界文学の現状とブラジルや日本、そして他国における翻訳が果たす役割を議論します。

Previous Events

公開済みイベント

東京カレッジ&MbSC2030共催 シリーズ 未来の科学技術への取り組み「未来のモビリティ:人間とサービスの関係性について」

イベント予定講演会/Lecture

2023年9月21日(木)15:00-16:30

「Mobility=自由に動けること」は、すべての人々が根源的に希求すること。ウーブン・バイ・トヨタは、人、モノ、情報の3つの「Mobility」の実現を目指す。それは、安全でスマートな、人に寄り添うモビリティをすべての人に届けることである。本講演では、最先端の車両ソフトウェアプラットフォームによる集約型システムについて解説をする。

脱炭素化とサステナビリティのためのエネルギー転換 (講演者:Yiguang JU教授)

イベント予定講演会/Lecture

2023年9月13日(水)15:30-17:00

気候変動や環境の持続可能性に対する社会的関心が高まる中、今後数十年のうちに「化石燃料エネルギー」は、再生可能な電力による「電子エネルギー」へと変化していくだろう。本講演では、再生可能エネルギーの貯蔵や断続的な生産といった課題に対処するための3つの方法: 非平衡エネルギーと化学変換、材料製造、アップサイクルに焦点を当てる。また、脱炭素化と持続可能性の観点から、これらの改革がもたらす利点についても議論する。

インド太平洋地域における抑止力と外交のバランス(講演者: Bill EMMOTT 潮田フェロー )

イベント予定講演会/Lecture

2023年7月25日(火)13:00-14:30(開場 12:30)

「今日のウクライナは明日の東アジアになりうる」と岸田首相は警告している。しかし、これをどのように防ぐことができるのか?日本やフィリピンを含むアメリカの同盟国は、抑止力のネットワークを構築しようとしている。これはどのように外交と結びつけられるだろうか?抑止は同時に挑発にもなりうるのか?本講演では、こうしたジレンマについて解説し、探っていく。

出版記念「複雑な絡まり合いーフィリピン研究」

イベント予定講演会/Lecture

2023年7月20日(木)16:00-17:30

地域研究という分野では、その植民地時代の起源、研究者の視点や立場性と方向性について、時折論争が起こります。Plural Entanglements: Philippine Studiesの出版を記念した本イベントでは、人類学者のDOCOT博士がこうした議論とフィリピン研究の包括性について語り、BARRETTO-TESORO博士が先住民の視点を用いた革新的な章を紹介します。

言語・文化・思考はどのように関係しているか(講演者:今井むつみ教授)

イベント予定ワークショップ/Workshop講演会/Lecture

2023年7月18日(火) 16:00-17:00

本講演では、言語、文化、知覚、認知がさまざまな領域でどのように相互作用しているかについて議論します。講演の最後には、このようなプロセスを経て、文化的アイデンティティがどのように形成されるかを考察します。


TOP