TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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54 大大竹竹 「緊急時にパニックを恐れて情報を非公開にするという政治的判断をよく聞きますが、知らされるべきことを知らされずに手遅れになるのは問題だと思います。多くの情報を公開し、間違った情報は正していく役割を専門家が果たすために、政府側に働き掛けることは可能でしょうか」。 南南学学 隠蔽をしたときに一番信頼を失うと思います。まっとうな政治家や行政であれば、情報を速やかに開示すると思います。そうでないことはあってはならないので、われわれがきちんと声を上げていくべきだと思っています。 大大竹竹 「SNSにおけるフェイクニュースについて、どのような対処が考えられるでしょうか」。 横横山山 ファクトチェックが日本でも進んでいると思うのですが、そうした機能を強めていく以外になかなか根本的な対策は難しいと感じています。最近はディープフェイクといわれるような映像のフェイクも増えていますし、ますます対応が難しくなることを懸念します。そうした情報に惑わされないよう、受け取る側としても気を付けていきたいと思っています。 大大竹竹 今日のお話をまとめると、藤垣先生からもお話があったように、人々や社会は科学や専門家に対して、十分に納得のいく説明や対策、対応を待望していると思います。 科学者の置かれた状況としてはscience in making、常に科学は途上です。それから、結論は確率を伴っている点がやはり難しいです。もう一つは、同じデータや事実を前にしても、科学者や専門家個人によって解釈が異なり、その人の価値観の問題になる点が非常に難しいと思います。 今後考えなければならない点としては、南学先生からも繰り返しありましたが、分かっていることと不明なことを明確に伝えていかなければなら

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