TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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50 横横山山 最初のご質問に関しては、リスクコミュニケーションの観点になると、自分自身が納得してその状況下で生活するための情報収集や信頼構築の目線が重要になってくると思います。コミュニケーションの仕方にはいろいろあると思いますが、やはりご自身や周りの方が納得して暮らせる状況を構築するための情報収集やコミュニケーションの仕方が最初の軸になると思いました。 異なる分野との協働については、私自身、このコロナ禍で初めて社会学者とジェンダー論の専門家と共同研究を行い、先頃アクセプトされてもうすぐ論文が出版されるという状況です3。そこで論じたことは、著名な漫画家の方とのコラボレーションで、例えば日本特有の現象として自粛警察をどう理解するかとか、ジェンダーギャップの大きな国ですので、特に女性に対して非常に負荷がかかっているコロナ禍における状況をどう考えるかとか、作品の協働を通じて社会にメッセージを投げかけました。励まされたと反響を得ています。実はそのジャーナル(JCOM)はイタリアで出版されているのですが、イタリアの頑張りは今回すごかったと思っています。 政治と専門の関係性というのは非常に困難だと思います。やはり専門家の信頼にもつながるところだと思うのですが、適度な距離感はどうしても必要になります。専門家会議や国の中での審議会の位置付けもありますが、そういう意味では学協会の働きが非常に重要だと思っています。コミュニティとして自立し、藤垣先生がおっしゃったように国際的なコミュニティの動向も共有しながら進んでいくという意味では、やはり学協会が大本に 3 Igarashi, Y., Mizushima, N. and Yokoyama, H. M. (2020). ‘Manga-based risk communication for the COVID-19 pandemic: a case study of storytelling that incorporates a cultural context’. JCOM 19 (07), N02. https://doi.org/10.22323/2.19070802.

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