TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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46 3点目に、2020年の6、7月に東京カレッジでコロナのシンポジウムが行われ、南学先生も参加された第7回目の統括シンポジウムでは、分野横断のコラボレーションや国際的な共同研究に必要性についてもお話がありました。国際的な共同研究については、やはりアカデミアを出て交流するときに政治とぶつかることもあります。 10月6日付の「Nature」に、「Natureがこれからも政治関連の事柄を取り上げる必要がある理由」というタイトルの記事が掲載されました。その記事では、現代の政治と科学の明らかな関係について論じられ、科学が政治に影響を与えるだけでなく、逆に政治も科学に強い影響を与えていることが論じられています。そして、政治の干渉によって科学の自由が脅かされる恐れについて、編集者が批判的な立場を取っていることを表明しています。 日本でも最近、学術会議の会員候補に推薦された学者6人が任命されなかった問題があり、科学の自由という問題が日本でも注目されたと思います。その点について東京大学の総長先生のメッセージを最近読んだのですが、科学界の独立性と多様性の必要を主張しておられました。国家の枠を超えた科学的な試みと国家的な行政対策のバランスはどのように取るべきなのか、専門家や研究者は国家的な対策とのコミュニケーションをどのように取るべきか、政治家との信頼関係をより深く築くためにはどうすればいいか、ご意見をお聞かせください。 南南学学 いずれも大変重要な点だと思います。一般との対話という観点からすれば、恐らくわれわれ医師はある程度できていると思っています。ディシジョンメイキングに関する価値観の共有はとても重要であり、例えばわれわれが治療をするとき、エビデンスに基づいて治療しますが、エビデンスに最も強く影響を与えるのは死亡率です。例えば、ある末期がんの患者に対して治療Aを行った場合、余命3カ月が4カ月半に統計学的に有意

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