TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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31 学に関しては一般に不確実性が受け入れられていますが、それ以外のことになるとかなり受け入れが悪いのです。 今回のCOVID-19に関しては、かなりセンセーショナルな話で、しかも米国を見ていると、薬をいつまでに開発すると大統領が再選できるとか、政治問題とかなり絡まっている感じがして、ものすごく変な話になっているところが大きな問題なのではないかと思っています。 大大竹竹 佐竹先生、今度は地震の立場からお願いします。 佐佐竹竹 まさにscience in makingで、サイエンスというのは、今年正しかったものが次の年に正しいとは限りません。逆に言うと、科学者は前に出た仮説を壊しながら進んでいくものだと思っています。それを社会にそのまま伝えるときも、科学の面白さとして伝えることはできると思いますが、例えば政治や行政につながると、毎年ころころ変わることを生かすことはなかなか難しいので、そうしたギャップが問題なのだと思います。要するに、政治に生かすときにサイエンスをどう映すかによって、science in makingと政策のギャップが出てくるのではないかと感じました。 大大竹竹 科学者の側は科学を分かっているわけですから、基本的に誇張した表現はあまりしないのですが、社会の側は必ずしもそう受け取ってはいません。これは科学に対するリテラシーの問題や科学教育などとも絡んでくると思います。今の専門家お二人からの率直なご意見について、今度は科学技術社会論の立場でどう思われますか。 藤藤垣垣 南学先生のお話で、患者は聞く側だったとしても、100%の答えは期待していないので、患者と政治的な意思決定を受け取るパブリックといわれるものとの間には少し違いがあるのかもしれないと思いました。実際、治療法に関してはセカンドオピニオンという言葉も最近は流通しているので、シングルボイスではないことぐらいは患者も知っているわけです。

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