TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
32/66

30 論論点点①① 専専門門家家のの考考ええををどどののよよううにに社社会会にに伝伝ええるるかか 大大竹竹 4人の先生方、ありがとうございました。まず、幾つかの論点で議論したいと思います。一つは、専門家の考えをどう社会に伝えるかというところが非常に難しくなっています。とにかく新型コロナの場合、今まで知見がなかったわけです。しかも、十分に理解できないような事象が時々刻々変化しています。こうしたものを社会にどう伝えるのか。さらには、地震の問題が非常に複雑化、細分化している中で、「分かりやすい」というのは一体どういうことなのか。端的に言えば、AかBかという話ではないはずなのですが、そうした要望があるところが非常に問題かと思います。 それから、佐竹先生や藤垣先生からもあったように、これまでの理解や仮説と最新の知見が異なるときの説明は結構難しいものがあります。研究者や科学者も人間ですから、「そんなはずではなかっただろう」と言われると「そんなことはないのだよ」と言いたくなるのが常だと思うのですが、そこをどう割り切って説明していくのか。多分、実際はその方が最終的に社会からの信頼につながると思うのです。 時々刻々と変化するもの、「分かりやすさ」への要請、さらにはこれまでと異なった事象を説明する難しさについて、まずは専門家である南学先生と佐竹先生からご発言を頂ければと思います。 南南学学 藤垣先生がおっしゃるように、科学は現在進行形で不確実性があるという心構えを、聞く側がどれくらい持っているかが恐らく重要です。医学に関して言えば、一般の非医療従事者の方々もそのことは十分理解していると思います。患者に説明するとき、「この治療で100%治ります」と言う医師がいれば、それは嘘っぱちです。大抵は確率でみんな言いますし、副作用がこれぐらい出るということも言います。ですから、少なくとも医

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る