TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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24 今回は情報提供をする側と意思決定の主体が離れているべき状況なので、東日本大震災のときとは少し異なる種類の批判が出たと考えています。 大大竹竹 続いて、横山広美先生にお願いしたいと思います。横山先生はカブリ数物連携宇宙研究機構の教授で専門は科学技術社会論です。元々は素粒子物理学の出身で、現在は学会理事などもお務めです。最近は日本経済新聞で、研究者はSNSでいかに発信すべきかという記事も書いておられます。今日はグループボイスのご提案ということでお話しいただけると認識しています。 横横山山 広広美美((カカブブリリ数数物物連連携携宇宇宙宙研研究究機機構構,, 学学際際情情報報学学府府 教教授授)) 1. ワワンンボボイイススととググルルーーププボボイイススのの違違いい 私は科学者集団の中に身を置いて研究をしているので、危機時には特に二つのことに気を使って研究を進めています。一つは、危機時の科学者の信頼をどのように保つべきなのかということ、もう一つは、危機時に科学者はどのように情報を発信すべきなのか、特に現代のようにSNSが非常に活用される時代に、インフォデミックを避ける形でどのように情報を社会と共有していくのかという点です。 危機時には専門家の意見をまとめるユニークボイス(ワンボイス)という原則があります。震災の後、日本学術会議で紹介され、研究者の間にもその考え方は共有されましたが、実際は低線量被ばくの問題ひとつとっても、意見が分かれてワンボイスにまとめることは困難でした。いつまとまるかわからないワンボイスを待っている間に社会に情報が届けられない事態にもなりかねません。SNSでは質はばらばらの多種多様な情報が多く出ます。どの情報が有用かはSNSの中でも指摘がされますが大量の情報

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