TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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16 ただ、これもかなり物議を呼びました。もちろん非常時か平時かで異なる問題だと思いますが、非常時には研究者から社会にシングルボイスでいくべきだと、少なくともこのときには考えられました。 3. 科科学学者者とと社社会会 震災の後には、日本学術会議から震災関係だけで10個を超える提言が出されました。その一つとして、トランス・サイエンス(科学に問うことはできるが、科学だけでは答えることができない問題群)は倫理的、法的、社会的な問題をはらんでおり、何らかの公共的討論に基づく意思決定が必要で、科学者等の専門家だけでは決められないとする提言が出されています。この提言では、科学者は科学の成果についての社会的なコミュニケーションを促進すべきであり、学術的成果の政治的経済的利害関係を振り返り、他分野や異なる立場からの批判的検討を歓迎し、開かれた討論の場を積極的に設けるべきだとしています。 大大竹竹 それでは次に、科学技術社会論の立場からのご意見のご開陳ということで、藤垣裕子先生です。先生は総合文化研究科教授で、科学技術社会論が専門であり、まさに今回のテーマのような問題を取り扱ってこられた専門家です。今日は不確実性事象の扱い方、リスクコミュニケーションや科学的助言の在り方についてお話しいただきたいと思います。

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