TOKYO COLLEGE Booklet Series 8
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11 をうまくコントロールできていないことによっていかに甚大な影響を米国にもたらしているかということを示しています。 東京帝国大学(現在の東大)の地震研究所教授を務めていた寺田寅彦先生は、「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはむつかしい」という言葉を残しています。コロナに対しても、そして恐らく地震に対しても、われわれが正当に怖がるためには、適切な情報発信、正確な情報発信が必要だと考えます。 大大竹竹 次は、佐竹健治先生です。佐竹先生は本学の地震研究所長で、地震火山情報センター教授でもいらっしゃいます。国際地震学・地球内部物理学協会長や内閣府の検討会の座長もお務めです。地震学の世界では東日本大震災以来、地震予知の問題で非常に大きな見解をいろいろと示されています。今日はそうしたことも含めて社会との関係に関するお考えをご開陳いただけると思います。 佐佐竹竹 健健治治((地地震震研研究究所所長長、、地地震震火火山山情情報報セセンンタターー教教授授)) 1. 地地震震予予知知政政策策のの歴歴史史 私は地震学者の立場からお話ししたいと思います。 その前に、地震研究所設立の経緯についてお話しします。1891年、濃尾地震という地震が発生しました。岐阜県の内陸で起きたマグニチュード8.1という非常に大きな地震で、約7000人の死者が出ました。これをきっかけに、当時の文部省に震災予防調査会ができました。その後、1923年に関東大震災が発生しました。地震としてはややタイプが違うプレート間地震で、東京を中心に10万人の死者が出ました。これをきっかけに、先

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