TOKYO COLLEGE Booklet Series 7
54/60

52 る。しかもお互いに心地良さを与えるようなコミュニケーションが基点になっていた」と述べました。言葉が単に情報を伝えるためのツールだと矮小化されて議論されることを、言葉について日々考えている先生方はものすごく苦痛に感じているのだろうと反省もしたわけです。 コロナ禍でいきなりリモートになったとき、効率は良くなった部分はあるものの、オンラインの会議を朝から晩までしていると疲れがたまります。ある脳科学者の先生によれば、コミュニケーションを全て2次元空間でこなせるほどには、人間はまだ進化していないのだそうです。コロナ禍に対応する中で、人間社会について改めて気付いたこともたくさんあります。変化がものすごく急速に進んでいる中で、過去の知恵を数千年単位で振り返る必要も感じます。そういうことを行う場として大学は極めて重要だろうと思います。 ググロローーババルル・・ココモモンンズズ・・セセンンタターーのの設設立立 抽象論だけではいけないので、東大が具体的に進めようとしていることについてもご紹介したいと思います。現在考えているのは、地球環境はかけがえのないものであり、コモンズ(共有地)だということです。目の前のコロナ禍対応も重要ですが、温暖化対策も待ったなしの課題です。しかし、地球を心配しているだけでは、コモンズとしての地球は守れません。今、私たちはサイバーとフィジカルが一体化した世界に生きていることは確かです。一方で、サイバー空間も物理空間の地球と同様、みんなで使わなければならない共有地のはずですが、今は荒れ果ててしまっているのではないでしょうか。私たちは既にサイバー空間のデータを見ながら自分の行動を日々決定しています。その参照先が荒れ果てていて、そこにあるデータを信用できないのでは、地球環境を守る地球全体のシナジーなどとて

元のページ  ../index.html#54

このブックを見る