TOKYO COLLEGE Booklet Series 7
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48 一方では138億年の宇宙の年齢、あるいはもっと長い時間軸でものを考える研究者もいます。そういった多様な研究の営みをどう包摂していくかを考えた時に、「地球」というキーワードは当然外せません。長い時間のスケールから見ると、人類が非常に大きな顔をしているのは自然史的に見たときにほんの一瞬なのです。こうしたご意見を踏まえて、標語を修正したのです。今から思えば「地球」を入れたのは全く正しかったと思います。これは東大の知を結集して議論した成果だろうと思います。 というのもここへ来て、人類の活動の地球に対する影響が予想を超えて大きくなってしまったのではないかと感じることが多くなっています。私も子どものころに豪雨の経験がありますが、今のような頻度ではなかったように思います。もちろん科学的に見たときに、それが本当に人間の活動の影響であるのかどうかはまだ議論の途上であり、断言はできませんが、そういう局面に入っているかもしれないということも強く感じています。そういう状況を踏まえると、地球を意識することは人類にとって不可欠な状況になっていることは間違いありません。 社社会会のの変変化化ののススピピーードドとと多多様様なな知知のの結結集集 学生たちにはいつも入学式や卒業式でいろいろなメッセージを出しています。例えば、「今は変化がものすごく大きな時代であり、何を勉強しておけば将来安泰かということは分からない。しかし、知を武器として生きていくために東大に入った皆さんにとっては、知を活用できるまたとないチャンスが到来しているともいえる。私も皆さんの世代に生まれたらもっと良かったかもしれないと思うことが多い。だから、皆さんは幸運であり、変化の時代を積極的に楽しんでほしい」と話したことがあります。

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