TOKYO COLLEGE Booklet Series 7
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44 南南学学 医学の分野で国際共同研究はずっと行われていますし、工学部との医工連携、最近では生命倫理の話を含めて文科系との連携や共同研究も数多くなされています。唯一、法律の壁のようなことが問題になることはあり得ますが、国際共同研究は既に多く行われています。 味味埜埜 もちろん共同研究は必要です。私は分野の共同に絞ってお話ししたいのですが、私はサステナビリティをキーワードに世の中を見てきました。サステナブルかどうかが問題になるということは、そもそもサステナブルでない状態があって、課題が何かあるからサステナブルを考えようということです。人間のサステナビリティに関わるような課題は必ず多面的です。サステナビリティに関する議論をずっと行ってきた中で、経済・社会・環境という三つの側面があるといわれていますが、どういう課題を議論するにしても、例えば技術的な課題について議論するにしても、社会的側面と経済的側面を併せて考えないと、必ず行き詰まってしまいます。 しかし、問題が複雑になればなるほど、集まってくる専門家の専門性も高く、非常に高度な内容が必要になりますが、その分野の一流の先生方を集めさえすれば共同研究や課題解決ができるかというとそうではなくて、大事なのは、集まった先生方や共同研究をしようとする人たちが、相手の分野のリテラシーをどのぐらい持っているかということによるわけです。ですから、相手の分野のリテラシーで会話ができて、なおかつ理解しようとする姿勢を持っていることが非常に重要です。 その前提で専門家が集まって、一つは全体をホリスティックに見て、システムとして理解し課題を解析すること、もう一つはジレンマが起こるもとになるステークホルダーがたくさんいたり、異なる構成要素がシステムの中にあったりするわけですから、それぞれの立場で下から見ていくことの両方が必要です。共同研究をきちんと行って、しかも課題解決につなげていくためには、ある種のノウハウやスキルが必要だと思います。

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