TOKYO COLLEGE Booklet Series 7
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25 ナウキャストといわれるデータ分析はすごく進んでいますが、これからはフォアキャストの部分に取り組むことになります。しかし、予測のアナウンスが人々の行動とインタラクションを起こしてしまうという問題を内在しているので、これを取り扱うためには、単なるエンジニアリングの問題ではなく、社会との関係を最初から考えに入れて学術体系をつくっていかなければならないというお話がありました。 宍戸先生からは、「プライバシー対公衆衛生」という安易な図式で扱ってはいけない問題であるという話がありました。データガバナンスというキーワードは、必ずしも経済と両立しないわけではなく、むしろデータガバナンスをしっかり行うことでいろいろな活動がしやすくなり、車の両輪的な要素もあるのではないかという議論をしました。ただ、その前提として行政や医療サービスで利活用のメリットが国民に還元されなければならないし、もちろん法制度とガバナンスの問題も重要となります。 まとめると、データはコロナ危機を越えていく、あるいは経済と両立させるために重要なツールであることは間違いないと思います。ただし、リアルタイムデータなどいろいろなデータに十分アクセスできているかというと、いろいろな問題があります。活動の中でニューノーマルな社会制度も見え始めていますが、その基礎になるのは法制度であり、データガバナンスです。これは当然、法令遵守のことだけではありません。データが適切に使われる中で、法的に問題がなくても炎上を起こしてしまいますし、社会的重要性がなければそのサービスや施策は社会に受け入れられないことになります。 従って、総合的な社会的重要性を勘案した体制が必要です。データは現在、多くのデジタルプラットフォーマーの利益の源泉になっていますが、それだけの金銭的価値があれば、十分にお金をかけて体制をつくって管理していくのは当然です。しかし、データはなかなか外縁がはっきりせず、

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