TOKYO COLLEGE Booklet Series 7
26/60

24 活用が非常に重要であること。もう一つは、サイバーとフィジカルの空間を最適に融合し、データを利用して未来社会をつくるSociety5.0は、今回のコロナ危機を越えたニューノーマルにつながっていくはずであり、ここで失敗するとSociety5.0も実現できないという意味では分岐点に立っているのが現状であるということです。 今回は、分野の異なる3人の先生方に参加していただきました。医学系研究科で医療情報学を専門とされている大江和彦先生、工学系研究科でいろいろな階層のデータによるシミュレーションを専門とされている和泉潔先生、法学政治学研究科で憲法や情報法が専門の宍戸常寿先生です。 大江先生からは、まさしく未知の感染症(第1波)に備えて、平時から早期症例データの収集システムの整備を行わなければならなかったこと、第2波以降では症例データの全数収集システムの整備を進めるべきであることが報告されました(リアルタイムレセプト収集)。レセプトとは診療報酬明細書のことで、基本的には月次ですが、簡単な改修で日々更新もできるので、これを利活用すると非常に有効ではないかということです。さらに症例の経過観察や結果追跡ができるように電子カルテと接続することで、有効なシステムができるのではないかという提案がありました。印象的だったのは、医療情報の世界で、新型コロナウイルスに伴う出来事の中には今までできなかったことが進んだという部分が結構あり、そういう意味ではニューノーマルの兆しが見えた気がするという発言もありました。 和泉先生は、エンジニアリングの視点からかなり細かい部分のシミュレーションも手掛けていて、動線をどうすれば院内感染の確率が減るか、個々の地域における密集度が経済活動とどうリンクしているか、逆に言うとその点を正確にコントロールすることで経済活動と感染の関係をもう少し緩和できる可能性を感じたわけです。ただ、この数カ月間、世界中で

元のページ  ../index.html#26

このブックを見る