TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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42 宍戸先生も言われましたように、大学は法律的には独立行政法人ということで、少し違う個人情報の仕組みを持っているのですが、大学におけるデータの利活用について最後にコメントを頂ければと思います。 大大江江 今回ほど一般の方々にも大学の方々にも、公衆衛生の概念が改めて認識されたことはなかったのではないでしょうか。非常に古くからある概念ですが、昔と違って公衆衛生学が医学にとどまらない、非常に広範囲の領域でなければ議論できない学問であることを改めて私自身も感じました。そうしたときに、そこで何か動こうとするとエビデンスが必要で、医学だけのデータでは出せない状態にありますし、和泉先生がお示しになったような所在情報なども含めて、あるいはSNSの情報なども含めた形で、公衆衛生学的なエビデンスを得ようとなると、今までのように公衆衛生の向上のためなら何でもいいという部分だけを読み取って活用していいのかという議論をしなければならなくなります。そういう意味で今回は、一大学だけでなく、あらゆる領域が議論して向かっていかなければならないということが感じられ、それが大学の非常に大きな役割ではないかと思っています。 渡渡部部 大学の中でもさまざまなシミュレーションやデータの利活用をしていかなければなりませんが、学生の安全面も含めていかがでしょうか。 和和泉泉 恐らく今後、いろいろ社会的な影響や研究分析結果をエビデンスとして示す場合、責任が生じてくると思います。その際に大学で行っている研究で結果だけを示すのではなくて、エビデンスや分析結果に至るようなプロセスも場合によってはオープンにして、幾つか選択肢が出た結果からどう判断するかということも社会に提供しなければならなくなると思います。したがって、場合によっては大学でのディスカッションも、分野融合でのディスカッションも含めて、プロセスを社会に示していくことになるのではないかと思っています。

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