TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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34 渡渡部部 レセプトの話をされましたが、本当にこの数週間ぐらいにかなり可能性があるという議論になってきたと思います。やはり元々そのような発想が全くなかったという理解なのでしょうか。 大大江江 そうですね。もちろんタイムラグを短くしたいという話はかつてからあったのですが、どちらかというと医療データの二次利用は、ひと月ぐらいタイムラグがあってもいいとか、半年ぐらい遅れても去年のデータが解析できればいいというような研究テーマが多かったと思うのです。今回、リアルタイムで広がっていくような感染症への対策という点で、医療データの二次利用はこれまであまり十分に考えられていなかったのではないかと思います。 渡渡部部 和泉先生はナウキャスト、フォアキャストという話をされました。この期間にいろいろと今までの研究にこのようなことが当てはめられるとか、そういう試みもされてきたと思います。この期間について何かお感じのことがあれば伺いたいと思います。 和和泉泉 2つありまして、まず1つは、以前からビッグデータを使って社会状況を見るような研究はありました。ところが、オルタナティブデータを使った分析が一挙に実用化され、注目を浴びたように思います。それによって例えば分野融合で、多分使えるだろうと思っていたデータが急に手に入るようになったというのはあります。それをいろいろ試せることができて実用化が進んだというのが1つの流れだと思います。 ただ、少し別の観点からいうと、例えば分析結果や研究結果をアナウンスすることが社会に非常に影響力を与えるようになったことは怖いところでもあります。言い方は良くないのですが、いわゆる工学系の研究者は社会的影響から少し距離を置くようなスタンスもあって、この結果はどのように公共性に対して影響があるかという社会的価値をあまり考えてい

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