TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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29 国外事業者に振り回されたと言わんばかりの議論が国内で見られたことは大変残念だと思っています。 また、その議論の中ではアプリの利用目的について、本人の行動変容や陽性者接触について通知を受けることに使われることが念頭に置かれ、それ以外のことはなかなか難しい仕組みなのですが、何とかこれに積極的疫学調査を盛り込めないか、あるいは裏側からこっそり入れられないかという主張がしばしば見られたように思います。 それから、接触確認アプリについて検討する内閣官房の新型コロナウイルス感染症対策テックチーム有識者検討会合で私が座長を務めていて大変懸念していたのは、先ほど大江先生からご紹介があった厚労省のHER-SYSとの連携可能性がよく分からなかったことです。HER-SYSの運用がどうなるのかということによって、接触確認アプリに非常に大きなプライバシーリスクをもたらすことを懸念していました。 具体的に申しますと、HER-SYSの運用について、わが国においては個人情報保護の観点からの監督・監視体制が十分ではないということです。そのことをベースにした上で、例えばHER-SYSとCOCOAの連携が予定されているように、感染者が「自分が感染者である」ということをHER-SYSとの連携で通知サーバーに感染者登録を正しく入れて、濃厚接触者にお知らせすることを超えて、例えば積極的疫学調査のために深い連携をしようとすると、HER-SYSがハード・ソフトの観点からどのように安全なのか、不安定なのか。この監視評価の部分と、COCOAとHER-SYSが連携することによって生ずるリスクを見定めておくことが、十分できない面があります。 ということは、利用者にとってCOCOAは入れても安心なアプリなのか、アプリを入れたときのリスクはこうして抑え込んであるという説明が

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