TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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26 れらを用いて感染症対策をするということは、統計データとしてさまざまな政策を考えるだけにとどまらず、最終的には特定の集団や個人に分析結果を当てていくことも想定されています。こういった観点から見ると、ただ単に統計データだから民間企業が当然提供できるというものではなく、公平性の問題や不当な差別につながらないかといった問題を考える必要があります。 また、出自について申しますと、例えばLINEと厚労省が協力して取ったアンケート調査は、コロナ対策のために新たに同意して取得した情報ですので、その意味では自由度が高いのですが、Yahoo!が持っている検索結果のデータは、既存の目的で取った情報の二次利用ですので、当然一定の仕組みが必要になります。 そういった観点から見ると、情報を利活用することが新型コロナにおいては大切であり、民間企業のデータも使えるものは使うべきだと思いますが、そのデータの利活用と保護についても十分な理解があった上で、具体的にどのようなデータをどのような目的に使うのかという議論が本来必要ではないかということを改めて感じました。 これに関連して、データを取り扱う側、すなわちYahoo!から提供を受ける政府側のガバナンスの問題があります。先ほど和泉先生からもお話がありましたように、使い方によっては非常に大きな問題をもたらすリスクがありますので、単にデータを使うだけでなく、使う側のガバナンス体制がしっかりしているのかどうかが非常に大きな問題になります。 例えば利用目的をどうするのか、具体的に利用目的を定めた上で使うのか、ある程度の幅のある利用目的だけれども仕方がないということでやるのか。そこで扱う情報の範囲はどうするのか、政府側にたまった情報をどこまで保存するのか、ずっと使い続けるつもりなのか、一定の期間が経っ

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