TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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21 ます。例えば社会・経済の動向というのは、個人データだけでなく、行動と行動が集まった集団の動きをフォアキャストすることが必要になると思います。 その際に非常に難しいのは、例えばGPSの位置データ情報やソーシャルメディアのテキストデータを使って、個人がどのような行動を取ったかという分析は、データ解析や機会学習などを使って行うことが可能です。ところが、個人データをいくら集めてもフォアキャストにはなかなかならないという問題があります。 フォアキャストにするためには、個人の行動モデルを特定する必要があります。その点に関しては、やはり人文社会の分野で行動の価値や規範がどのようにモデル化されているかという知見と工学系や情報系の知見を融合する必要があると思っています。それによってデータ分析と行動モデルを併せることで集団のシミュレーションが初めて可能となります。そして、今までになかったようなルールや状況に対して、最適化や制御を行うこと、もしくはあるルールを適用したことによって出てきた社会状況について、公共性が高いのかどうか、もしくは法整備などが実装可能かどうかということを、分野融合によって評価していく必要があると思います。 3..ブブララッッククススワワンンをを見見るる もし分野融合によってデータ解析と行動モデル、シミュレーションができると、いくらビッグデータといっても社会に関する行動はデータが少ないので、過去のデータだけで平均や中央値を見たり機械学習を使って分析しても、未来の政策決定にとっては非常に扱いづらいことになります。そのために何が必要かというと、いわゆる「ブラックスワン」が起きる状況

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