TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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20 位置データによるフォアキャストの研究例としては、屋内GPSによって病院スタッフの動きのデータを分析して、ニアミスを起こしやすいレイアウト、起きにくいレイアウトをシミュレーションしています。屋外の通常のGPSを使えば数キロ単位の分析も可能だと思います。これによって、例えば人の動線をどうすれば接触確率を減らせるかといった設計の考察も可能になると思います。 続いて、ソーシャルメディアのテキストデータを使ったナウキャストの研究例としては、ツイッター投稿において「コロナ」「ストレス」が同時に現れた数を分析することで、人々の気持ちの変化を探る研究があります。他にも、テキストのコメントを使って景況動向をリアルタイムにナウキャストする研究もあります。これを使うと、四半期ごとにしか出ないようなGDPの景況指標を毎日出せるなど、非常にリアルタイムで細かく見ることができ、そのうえ既存の手法との相関が高い形で見られることが明らかになっています。例えば、ある地域のサービス業の売上が上がったり下がったりするインパクトがあった場合に、他の業種にその影響がどのように広がっているのかをシミュレーションすることができます。そうしたインパルス応答という分析によって、あるエリアではどの業種の影響力が大きいのかを見ることで、政策判断が可能になると考えられます。 2..デデーータタ解解析析++行行動動モモデデリリンンググ 行動データがあって、現在の状況をモニタリングしてリアルタイムで見る研究は、データ解析は非常に進んでいるのですが、今までになかった状況に新たな政策やルールを入れた場合どうなるかという未来の社会制度を設計する場合には、やはりデータ解析だけでなく、そこで活動している人々の行動パターンや行動モデルの融合が非常に有効になると感じてい

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