TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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16 で陽性になった患者についてはその場からすぐにさまざまな新たな治療が追加されますし、病名も追加登録されますから、それをレセプトから調べることで十分に陽性例を検出できると考えられます。 こうしたシステムを他のレセプトデータと個人レベルでひもづけして解析できるようにすることは、重症化の要因などの解析に非常に重要なのですが、それを可能にするには個人情報保護法を含めた法令の何らかの関係整理が必要だと思います。感染症法でカバーできないのかと私のような素人は思うのですが、この点についても普段から検討しておくことは非常に重要ではないかと思います。また、こういった診療報酬に使うデータを別の目的で使うとなると、医療者側もそのデータがどの範囲でどのように使われるのかということが心配になりますから、利用目的を明確に限定して説明することも重要でしょう。 4. 院院内内既既存存デデーータタのの活活用用 一方で、病院には診療に関わるさまざまなデータが蓄積されています。単に受診データを分析するだけでもさまざまなことが分かってきます。東大病院の受診患者数を5月で比べると、毎年延べ約5万人の患者が受診していたのが、今年は自粛要請もあって2万9000人に減っていました。 それから、患者の病院までの移動時間と受診回数の関係を見ると、移動時間の長い患者ほど受診回数が例年より減っていることが分かり、遠方患者の受診が抑制される傾向が明確に出ています。こういったことを調べることで、どういった患者により適切にオンライン診療を提供すべきかといったことを検討する重要なエビデンスにもつながると考えています。遠距離の患者ほど専門的な高度医療を要求される患者が多いので、遠方患者の

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