TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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14 平時からのシステム化に関して、東京大学で私が関わってきた多目的臨床データ登録システム(MCDRS)をご紹介したいと思います。感染症に限らず症例登録をするシステムで、さまざまな疾患で利用されています。ウェブ上で数時間でデザインすることが可能で、多施設で登録できます。こういったものをうまく活用していくことも必要だと思います。 同じく東京大学COI拠点で開発してきたものなのですが、糖尿病や高血圧の患者の情報を患者自身が入力し、医療機関で確認し合うような双方向に入力を確認するパーソナルライフデータストレージシステム(PLS)を作りました。今回の感染症でも臨床症状は、かかった人でないと気づかないような特有の症状が多彩に表れたので、医療者が入力するよりは患者自身が気になる情報を入力するような環境も構築していくことが重要だと思います。 3. レレセセププトト情情報報のの有有効効活活用用 病状がある程度分かるようになると、日本の医療では通常、保険診療体制が整備されます。新型コロナウイルスにおいても現在、検査で保険診療が認められることになっています。そのときに、検査の件数などはレセプト(診療報酬請求)の情報ですけれども、96%程度が電子的に統一フォーマットで収集されています。これをうまく活用して、第2波に備えたデータ把握を行うことが重要ではないかと思っています。 保険診療はわが国の特性として、実施した事実をほぼ全数把握できますし、地理分布や医療施設の分布も把握できます。また、保険者情報が入っていますので、それとひもづけることで他の医療実施データとの連結解析ができますから、例えば基礎疾患や合併疾患がある患者との解析ができま

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