TOKYO COLLEGE Booklet Series 6
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12 今回の感染症は、関係するところが非常に多いのが特徴です。帰国者・接触者相談センター、帰国者・接触者外来、病院・診療所、待機患者がいる自宅、ホテル、それから大きな役割を果たしている保健所といったところから、それぞれ入力がなされる必要がありますから、紙やファクスでは非常に大変であることは明らかです。そこで厚労省は、新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)をかなり早い段階から設計し、非常に短期間で整備しました。 具体的には、本人がスマホで入力して、健康状態の一覧を医療機関や保健所が把握できるような機能も付いていますし、先ほどの法に基づく発生届もオンライン化されています。それから、クラスター対策を効率的に行うために行動歴や接触者の一覧も管理できます。 これまでの公的システムの開発・導入準備期間を考えると、非常に迅速に整備されたわけです。まだ全ての都道府県で導入できていないようですけれども、HER-SYSを全ての都道府県、全国の保健所、医療機関が早急に活用することが求められると思っています。 なぜ全ての都道府県がすぐに導入できないかというと、3月から感染が広がって、その後の2~3カ月間に大きな都道府県や患者数の多い都道府県では独自のシステムを構築し、データ入力を始めていたところがあったからです。そういったものが動き出してしまうと、後でHER-SYSに乗り換えるのは難しいと聞いています。そういった点でまだ一部の都道府県では導入できていないようです。 また、収集が必要なのは患者情報だけではありません。医療機関自体のヒューマンリソースや医療資源のデータ収集も非常に重要です。3月下旬には新型コロナウイルス感染症医療機関等情報システム(G-MIS)が動き出して、そのデータが政府のCIOポータルでオープンデータとして公開

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