TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
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41 の支援はできなさそうだという話も聞きました。いずれにせよ、ワクチンの問題は今後かなり深刻に考えなければならない課題ではないかと懸念しています。 味味埜埜 私が最初に全体の趣旨を説明したときに、利他性や公共性という言葉を使ったのですが、国のレベルでもそうしたことがかなり重要なポイントになってくるという指摘だったと思います。その点で北村先生は、イノベーションによる社会システムの変換には柔軟な学びが必要だという話をされたのですが、これは非常に分かりやすく説得力があるロジックだと思ったのです。沖先生も非常に具体的な例で人の動き方や公共性が大事だとおっしゃったのですが、「柔軟な学び」というキーワードに関して、これまで具体的な動きはあったのでしょうか。 北北村村 これまでの学びは、基本的に体系化されたワンセットになっている知識やスキルを身に付けて、それが学校を出た後に役に立つというのが1つのイメージでしたが、柔軟な学びとはむしろ正解を常に探しながら、複数の正解がある場合やそもそも正解がない場合がある中で、学びのあり方を考えていきます。そうすると、自分のことだけではなく、社会と自分の関係や他の人のことを考えることにもつながると思うのです。 教育の公共性においては、学校内でできるだけインクルージョン(包摂)を実現することで、障害を持った子が普通学級や普通学校に通い、障害の有無にかかわらず一緒に授業を受ける場面をつくることは非常に大事なことだといわれています。そういったインクルージョンを行っていくときに起こっていることは、公正な資源の配分なのです。つまり、例えば目が見えない子がいたら、その子のためにサポート・ティーチャーのような形で先生をさらに1人配置したり、特別な器材を準備したりして資源を余分に与えるわけです。そうすると、インクルージョンといいながらも、全く

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