TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
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38 働くということや労働から得られる充実をどう考えていくかということがかなり広範に探求されるようになりました。農業や漁業の現場だけでなく、さまざまなところでそうした共有基盤を模索する営みが広がっています。 その中で特に、先ほどのような労働か環境かといった形で二項対立化させないことが重要です。統制か健康か、自由か国家安全保障か、監視か自由かなど、さまざまな二項対立があり得るし、社会はそうして少しでも見え方を明晰にしようとしながら何かを成し遂げようとするわけですが、やはり二項対立化させないことです。もっとニュアンスに富んだ語彙を生み出しながら、市場経済ももちろん必要だけれども、市場経済の脇でたくさんのサブシステムが回っていくようなオルタナティブな経済を考えることが求められると思います。 The commonをもう一度考えるには何をすればいいかというと、SDGsが元々持っていた可能性をまだ投げ捨てずに、社会共有・共通基盤を再設計するところから考え直さなければならないと思います。

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