TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
36/54

34 しかし、国によっても、地域によっても、ヘルスケアと公衆衛生の社会的権利がみんなに実質的に保障されているわけではありません。しかも「家にいなさい」と言われることが負担になっている人たちは多くいます。育児や介護や家事が私的な領域に囲い込まれる中で、家族があたかも万能解決ユニットのように語られています。でも、実際にはもはや万能解決ユニットではない。では、私たちは社会をどう設計すればいいのか、家族に押しつぶされそうになっている人たちは誰かということを踏まえて、新しく社会を設計できるかが問われているのです。 教育については、先ほど北村先生がおっしゃられたように、質の差が明らかに見えていますし、学校に行けないことによって本当に居場所がなくなっている子どももいます。 なおかつ、環境について考えると、大きなグローバルサプライチェーンの中で食・環境・労働が密接に連動しているために生きづらさを感じていた人たち、それから食べることが難しい人たち、市場の中できちんと生き残るためにグローバルサプライチェーンに適応しようと思った人たちが、コロナの直撃によって今まさに被害を被っています。

元のページ  ../index.html#36

このブックを見る