TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
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33 か、そのための経済とは何か、そのために私たちはきちんと自分たちと共に歩んでくれる存在としてどういった「自然」を維持しようとしなければならないのかということが問われてきたわけです。 22.. ココロロナナ危危機機がが直直撃撃ししたた脆脆弱弱性性 他方、SDGsは同時に、その目標達成のためにグローバリゼーションと市場化に積極的に関与していく側面も持っています。その結果、取りこぼされる人々(データに表れないところにいる人たちや非対称性の下に置いていかれる人たち)が出てきます。それから、自由主義型市場は生きる幅の選択をどうしても狭めてしまう傾向があるので、介護や医療なども含めたケアの部分に社会的基盤を割かない傾向が強くなります。そういう連帯の難しさも含めて、人々を分断する力が強くなることが明らかになってきて、SDGsも結局のところ、誰かを取り残すのではないかということが指摘されてきたのです。 コロナ危機はまさにその脆弱性を直撃しています。沖先生がおっしゃったように、ある分野のリスクは専門家の間では共有されていたけれども、社会全体の中ではなかったことにされてきたリスクが立ち現れています。元々そのリスクによって苦しんでいた人たちは、リスクを自分のものとして引き受けざるを得なくて、社会から見えなかった人たちがより一層苦しい状態になっているのです。この点を考えてみる必要があります。 何を直撃したのかをよく考えると、例えば共有・共通基盤と目されるものの中に医療と保健があります。

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