TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
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24 ければならないさまざまな課題を無限に包摂し得ると思います。それと同時に、究極の持続可能な状況は平和な世界だと思うのです。それが一つの丸のハーモニーの中に実現されていくというふうに考えられるかもしれません。 17の目標は国際的に非常に大事な参照軸となっていますが、それに限る必要はないのではないのかということを先ほど沖先生も指摘されました。たとえば「文化」という言葉がSDGsの中では3カ所ほど出てくるのですが、実際に文化に関する目標が個別に立ってはいません。しかし、持続可能な世界をつくっていく中で平和な社会を実現していくとなれば、異なる文化を理解し合い、尊重し合い、支え合うことは非常に大事なはずです。 実際にSDGsの17の目標が採択された後、文化において非常に大きな役割を果たしている国連機関の1つであるユネスコは、文化の目標を入れなかったということで非常に議論になったりしたこともあります。このようにSDGsは、17の目標が非常に大事ですが、そこを踏まえながら自分たちなりの目標を考えていくことも大事だということを指摘しておきたいと思います。 現在、新型コロナウイルスの影響でさまざまな問題が引き起こされていますが、特に大きな問題は、社会的に厳しい立場にある人々(脆弱層)がより深刻な状況になっていて、格差が広がっていることです。この格差の拡大が現在とても大きな問題となっています。「誰一人取り残さない」というSDGsの理念を実現することを考えたときに、取り残されてしまっている人たちが確実に現れていることが、新型コロナウイルスの極めて深刻な問題だと思っています。この中で私は特に教育に着目したうえで、教育、健康、社会の安定という3つのトライアングルが重要だということをお話ししたいと思っています。

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