TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
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18 4. 他他ののアアウウトトブブレレーーククをを参参考考ににすするる 私は洪水対策も専門なのですが、今回のパンデミックの感染者数のグラフと異常洪水時のハイドログラフは非常に似通っているところがあって、どう対処しなければならないかという点ではかなり共通点があると最近思っています。 探してみると、例えば交通渋滞や電話通信トラフィックのグラフでも、普段に比べて非常時にはロード(負荷)が数十倍から数百倍に増えてしまって、もしそれをあふれさせてしまったら大変な問題になります。従って、準備しておかなければならないのですが、あまり準備し過ぎると不経済であるという共通点があります。こうしたアウトブレークのリスクマネジメントという観点で、COVID-19を考えなければならないのではないかと思っています。 例えば河川洪水とパンデミックと渋滞を比べてみると、洪水の場合に増えるのは川の水量です。パンデミックの場合はいろいろな視点があると思いますが、まずは病院内の患者数に着目します。渋滞の場合は交通渋滞の長さであったり、道路上を走っている車の数であったりします。容量を増やすためには、堤防を整備したり、増床したり、道路を拡幅したりすることになりますし、できるだけ早く水を海に流す、できるだけ早く退院してもらう、できるだけ早く目的地に達してもらうためには、河道の直線化、ワクチン開発、ボトルネック解消という対策が必要になります。 比べると何がよいかというと、例えば河川の洪水被害が生じると、ものすごく行政的な人手が必要になります。しかし、普段の人数では足りないので、TEC-FORCEといって、全国から緊急事態が発生した地域に人を送り、組織的にサポートする仕組みができています。これが今回のパンデミックの場合にはなかなかうまくいっていないようです。全国的に起こった

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