TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
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17 そうしたことを実現するに当たっては、SDG9.cで触れられている「後発開発途上国でのICT技術へのアクセスの向上」が必要になります。日本の中でもアクセスが十分でないという状況もあるので、そうした状況の向上がグローバルなパートナーシップの充実にもつながると考えます。 また、SDG1.5では「経済・社会・環境的ショックや災害への貧困層の暴露、脆弱性を軽減する」と書かれています。先進諸国においても、3密状態の居住・職場環境に置かれている人々の感染拡大が深刻になっています。従って、やはりSDGsに書かれているような内容に全体として取り組んでいかないと、世界はCOVID-19を上手に克服できないと思います。 さらに、COVID-19の副作用として2020年のエネルギー需要は減り、低炭素電源がより使われるようになったために世界のCO2排出量は最大7~8%程度減って、10年前ぐらいのレベルに戻ると推計されています。ところが、逆に考えてみると、航空機に乗る人が激減して、車に乗る人も半減ぐらいしてようやくこの数字なのです。産業革命以前に比べて1.5℃の温暖化に抑えようと思うと、2050年ごろには正味で温室効果ガスのゼロ・エミッションを達成しなければなりません。今回かなり自制してもせいぜい8%程度しか減らなかったのですが、2050年にゼロ・エミッションを達成するためには、毎年さらに7%ずつ減らしていかなければならないと推計されています。そのため、我慢して温暖化対策を達成するのではなく、格段に温室効果ガス排出が少ない社会システムの構築とそれを支える技術開発が不可欠ということになると思います。

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