TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
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15 ので免疫がありません。そして、免疫系の回避を可能にする病原性因子があり、呼吸器系での感染を生じさせ、潜伏期間中や軽症発生中に感染する能力があると書かれています。これらはまさにCOVID-19の特徴そのものなのです。こうしたことが2年前に発表されて警鐘が出されていたにもかかわらず、我々は誰も準備しなかったのです。 3. SDGsににおおけけるるCOVID-19 COVID-19とSDGsという観点から見てみると、SDG3.3では伝染症や感染症への対処について触れられているのですが、ここで言う感染症とはHIV、結核、マラリア、B型肝炎といった既知の病気であって、COVID-19のような新たな感染症は対象ではありません。しかし、全く関係ないわけではなくて、SDG3.dには「世界規模な健康リスクの早期警告」とあり、指標として国際保健規則キャパシティが示されています。感染症に対して最低限必要な予防・検知・対応能力の基準が定められており、日本はもちろん達成できているのですが、世界では7割、アフリカでは6割程度の加盟国しかキャパシティがないといわれています。つまり、実際にどのぐらい起こっているのかをきちんと調べられないし、調べても対応できるキャパシティが不十分だということです。 ただ、今回のCOVID-19で明らかになったのは、グローバルな経済下ではどこかで感染症があったときに、普段は争っていてもお互いに助けなければならないということです。実際、感染症に関しては国際保健機関(WHO)が1980年に天然痘の根絶宣言をしました。天然痘がCOVID-19と違って根絶しやすい特徴があったというのもありますが、国際連携によって根絶できたわけです。また、日本がオリンピック・パラリンピックを来年ぜひ開催したいと思ったときに、世界のどこかでまだCOVID-19

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