TOKYO COLLEGE Booklet Series 5
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14 2. 時時ををかかけけるるCOVID-19 COVID-19はたまたま2020年に起きましたが、例えば今年1月に預言者が現れてCOVID-19で世界中の多くの人が亡くなり、観光業や外食産業が壊滅的な打撃を受けるといわれていたとしても、きっと誰も信じなかったと思うのです。しかし、もし本当にそのとき確信のある情報が得られたとして、何ができたかということをちょっと考えてみる必要があると思います。ビジネスの継続を考えたり、病院の病床体制をもっと良くしたり、検査体制を良くしたり、いろいろできたかもしれません。一方で、人によっては、今のようなコロナ禍になることが分かっていても何もしないかもしれません。 もう少し考えてみるといいと思うのは、コロナ禍が10年前に起こっていたら、今のようにオンラインで会議ができていただろうかという点です。できないことはなかったかもしれませんが、受け手がこれほどはいなかったでしょう。20年前であれば、日本ではインターネットのブロードバンドが広がり始めた頃なので、開催自体がほぼ無理だったでしょう。そう考えると、10年後にまた同じようなパンデミックが起こったときに、被害はより深刻なのか、それとも少なく済むのかということを今日のパネル討論では考えられるといいのではないかと私は思います。 2018年、ジョンズホプキンス大学の研究者らが、「グローバルな壊滅的生物リスク」という報告書を出しました。この大学は現在、新型コロナウイルスの全世界の感染者数や死者数の統計を集めて世界に公表している大学としても知られています。報告書では、世界に影響を及ぼしそうな感染リスクの病原体はDNAウイルスではなくRNAウイルスであるとしています。効率的にヒトからヒトへうつり、致死率もそれなりに高いのですが、今のところまだ効果的な医療方法がなく、誰もかかったことがない

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