TOKYO COLLEGE Booklet Series 4
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41 こうした取り組みにおいて、先ほど岩本先生が強調されていた費用便益分析が一つのエスタブリッシュされたフレームワークになると思います。政策判断に対して政策のつまみをどのぐらいひねるべきなのか、有益な情報が提供できるようになるのではないかと考えます。 渡渡辺辺 ウィズコロナ、ポストコロナを考えたときに、経済の観点から私が大事だと思っているけれども、経済学者があまり上手に答えられないことによって混乱が結構大きくなってしまったポイントがあります。疫学では、500×500mのメッシュの中に何人入るとどの程度の接触が生まれて、どれだけの人に感染するかということについての理論モデルがあり、実証研究もあります。人が多く入れば入るほど当然感染は増え、しかも感染の増え方は非線形であることも分かっています。疫学の研究者がもっているそうした知識に対応するものを経済学者も持っていないといけないと思っています。私は、既存の経済学の中でそれに近い知見があるとすれば「集積」の効果に関する研究だと思います。つまり、500×500mのメッシュの中に人がたくさん入ること(集積)によって、経済的、社会的なメリットが生まれます。東京やパリのような大都市が成立する理由はまさに集積にあるのです。 消費者の観点からいえば、例えば銀座にはいろいろなものを一度に買える便利さや、いろいろな人と会話をしながら買い物を楽しむメリットがあるから、ショッピングの集積地になっているのです。労働者の観点からしても、労働者は1カ所に集まった方がいろいろな意味で便利です。工場にいろいろな労働者が集まって、協働しながらものを作っていくことで生産性や効率性を生み出してきました。 そういう意味では、消費者であれ、労働者であれ、集積することによって経済の価値が急速に高まることを私たち経済学者はいろいろな場面で知っているのですが、500×500mのメッシュの中に何人入れるとどのく

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