TOKYO COLLEGE Booklet Series 4
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18 星星 渡辺さんにお聞きします。キーワードとしてニューノーマルを挙げられましたが、消費パターンはいずれコロナ前の状態に戻るとおっしゃいました。消費に関しては、ニューノーマルはオールドノーマルと一緒だと聞こえるのですが、そういう理解でいいのでしょうか。 渡渡辺辺 基本的にはそのようなことを申し上げたつもりです。私自身もニューノーマルはあるのだろうと思っていました。つまり、コロナ前とは違う世界を経験すると思っていました。それをオンライン消費の視点から確認したいと思ったのが、あの分析を始めたきっかけでした。ですから、ニューノーマル側にバイアスがかかっていたのですが、データを丹念に見ると、ニューノーマルがないのではないかと感じたのです。一切ニューノーマルがないという大胆なことを言うつもりはさすがにありませんが、消費の中でも特にオンライン消費に焦点を当てて、さらにそれをクレジットカードのデータから見たときにそういうことがいえると思います。 それから、星先生が言うように、どちらかというと私はモノを使う側の話をしていて、宮川さんや川田さんはモノを作る側の話をされたと思うのですが、私は消費者にとってのコロナ危機はそれほど大きなことではなかったと考えています。消費者としての生活を見たときに、外食ができない、娯楽も楽しめないなどいろいろな制約が加わりましたが、ではどうしたかというと、外食できない代わりに少し贅沢な肉をスーパーで買ってきて食べたり、映画を見に行けない代わりにコンテンツ配信サービスに入ったりしたと思います。満足度はもちろんレストランや映画館に行った方が高いのかもしれませんが、消費者としてはそこそこ上手な代替ができた点ではそれほどマイナスはなかったと思っています。 それに対し、労働者や経営者は単純なスイッチはできません。レストランの経営をしていたのを辞めてすぐに別の業態に変わることはできないし、働いている人たちも別の職業にすぐに変わることはできないので、働

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