TOKYO COLLEGE Booklet Series 4
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11 コロナ禍に入る前と入って以降の変化を見るために、JCBクレジットカードの会員100万人を追跡調査し、コロナ禍前の2020年1月とコロナ禍に入ってからの2020年4月を比べてみました。すると、オンラインとオフラインを併用していた人がオンラインのみに切り替えた動きが最も顕著に表れました。元々併用していた人たちがオンラインのみに切り替わったのは、家にパソコンやWi-Fi環境を既に持っている人たちが、感染が怖くなったのでオフラインで購入するのをやめたからです。つまり、オンライン消費に全くなじみのない人たちが突然始めたわけでは決してなくて、ある程度なじみがあった人たちが感染を恐れてオンライン消費をさらに増やしたことが大きいと思います。 しかし、Taobaoの場合は、元々オンラインを知らなかった人たちが突然オンラインを使い始めたケースが多かったのです。その人たちはSARS収束後もオンラインを使い続けました。しかし日本の場合は、オンラインに元々なじみのあった人たちが感染を恐れてさらにオンラインを使ったにすぎないので、感染が収束してワクチンなどが充実したら、恐らく再びオンライン・オフラインを併用する形に戻ることを示唆しています。 つまり、クレジットカード会員100万人の分析結果として見えるのは、オンライン消費はニューノーマルに向かうというよりも、感染のショックに伴って一時的にみんながオンラインに大きくシフトしているだけで、また戻るのではないかということです。われわれは、オンライン消費になじみのない人々がオンライン消費を始めたのではないかと考えていたのですが、そうではなかったのです。 年齢別に見ても同様で、シニア層であまりオンライン消費をしていなかった人々がコロナ禍の時期にオンラインデビューをしたわけではなく、20~40代の元々なじみのあった人々がさらにオンライン消費の割合を高め

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