TOKYO COLLEGE Booklet Series 3
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25 5. 時時代代のの転転換換期期とと次次代代のの構構想想 時代の転換という問題を考えてみましょう。14世紀の黒死病(ペスト)がもたらした転換というのは、大幅な人口減少によって前近代の封建制社会の規範・思想や秩序が終焉したということであり、それが近世(ルネサンスと宗教改革の時代)への転換を決定付けました。そして、近世から近代への転換は、産業革命という社会的伝染病が世界に蔓延することにより決定付けられたわけです。 近代から現代への転換は、さまざまな人々が構想しました。社会主義者や社会改良主義者たちの構想はありましたが、彼らの構想どおりには転換せず、むしろ第一次世界大戦によるグローバル経済の破壊と、戦争末期から戦後にかけての「革命の恐怖」、背後の不安定要因としてのスペイン風邪に対応する形で、否応なく国際連盟と国際労働機関(ILO)が社会主義や国際労働運動が戦前から求めてきたものを横取りする形で現代という時代ができあがったのです。つまり、予防革命あるいは「革命の過剰」としての20世紀が生まれました。 現代の終焉は、私は1968年には始まっていたと考えていますが、次の時代の構想が一貫して欠如しているため、現代は完全に終わることができない状況が続いてきました。 6. 今今、、何何がが終終焉焉をを迎迎ええてていいるるののかか しかし、今はどうやら、疫病禍によって強引に現代の終焉を迫られているようです。なぜなら、健康と生命のためだったら死んでもよいといわんばかりの生政治・生権力の急速な増長を目の当たりにしているからです。

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