TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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7 修正・解決しなければならなかった課題も含め、元に戻してしまう力にもなり得ます。「火事場の馬鹿力」は、正負両面の性格を持つと言えます。 COVID-19パンデミックは、地震や風水害と異なり、二次、三次の感染ピークがあるとされるように、いわば発災が繰り返される「with禍災」の状態が一定期間続くという特徴があります。それは経済面のみならず、心理的にも大変に苦しい持久戦である一方、復旧・復興を急ぐ力が働く前に、課題の修正・解決方向を検討し、それを復旧・復興過程に組み込むだけの時間的猶予がある、と考えることもできるのではないでしょうか。 人命を奪い、多くの苦しみをもたらしているCOVID-19の一刻も早い収束は、全世界共通の希望です。しかし、この未曾有の危機を、ただ悲観し収束を待ちわびるのではなく、私たちの社会が抱えてきた課題を修正・解決するチャンスのひとつに結びつけることができるならば、それこそが、失われた人命や人々の苦しみに対する、せめてもの弔いや救いになるのではないか。 ときに折れそうになる気持ちを鼓舞し、人類がたどってきた失敗の反省と培ってきた叡智の活用を旨に、暮らしと社会をより良い方向へと導くことが、これからの社会と暮らしを担うべき私たちに課せられた使命なのではないでしょうか。 2020年10月 横張 真

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