TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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6 ははじじめめにに COVID-19は、感染拡大から9ヶ月足らずのうちに、全世界で3000万人以上が罹患し100万人以上が命を落とすパンデミックとなっています。世界の社会・経済は未曾有とも言うべき混乱に陥っており、その収束には、少なくとも今後3~4年はかかるとの予測もあります。文明が発達した現代社会にあってもなお、こうした禍災が起こること自体、全く予測していなかった、信じられない、といった気持ちでおられる方も多いものと思われます。 COVID-19の感染拡大は、グローバルな社会経済活動のみならず、私たちの日々の暮らしや社会の隅々にまで、大小様々な影響をもたらしています。もう二度と元の暮らしには戻れないといった悲観的な論調が、社会の各所から聞こえてきます。 しかしCOVID-19パンデミックは、私たちがこれまで全く予期していなかった新たな課題を生み出したのかと言うと、必ずしもそうではない面も多いのではないでしょうか。以前から気づき、修正・解決しなければとわかっていながら、つい先送りにしてきた課題が表面化するとともに、その修正・解決が待ったなしになった、という面も多いものと思われます。日本にあっては、災害に備えた社会システムの改革、大都市圏の過密や地方の過疎の是正、働き方改革、様々な社会サービスのIT化等の課題が、それに相当するでしょう。 私たちの社会には、こうした禍災に際し、その被害が甚大であるほどより強力に、すみやかに元の状態に戻ろうとする力があります。そうした力は、たとえば地震や風水害により被害が発生した際には、一刻も早い復旧・復興を進めることを強力にアシストするものとなります。しかし一方で、

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