TOKYO COLLEGE Booklet Series 2
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39 リアルにわれわれが感じ取れるような姿で、インフラの重要性を議論できる場があるのではないかと思います。 横横張張 これまで私たちが経験してきた自然災害は、地震や津波のように、発災は一発で、それが収束した次の瞬間から復旧・復興が始まります。それに対して今回のコロナ禍は第2波、第3波があるといわれ、ウィズコロナの時代が数年は続くのではないかといわれています。正常性バイアスが働こうとしても2回目、3回目が起こる中で、大橋先生がおっしゃったようなビジュアル化の技術が加わってくると、社会全体のムードとして多様性や冗長性を認める方向に大きくシフトしていく可能性もあり得ると思いました。 最後の質問として、冒頭に小熊先生が「今回の経験はさまざまな脅威の入り口のような面もある」とおっしゃいましたが、われわれが今後より深刻な危機を迎えようとしていることに対し、今回のこのコロナ禍の経験を通じ、私たちは何を教訓として学んだらよいのか、逆に失ってはいけないものは何なのか、皆様より一言ずつ頂いて今日のディスカッションを締めたいと思います。 小小熊熊 目の前にある危機が新型コロナである以上、それに立ち向かおうとすることは当然で、そのためにオンライン化を進め、社会システムを様々な面で変えようとすることは決して無駄ではないと思います。ただ、現在取り組んでいる対応が、その他の災害の観点から見ても強い社会へ向かっているのかという視点を常に持つべきだと思います。政策決定者や研究者だけに限らず、より広く社会全体として、現在の対策は例えば地震のときにも役に立つのか、気候変動の対策にもなるのか、あるいは現在の対策に何が足りなくていつまでにどうすべきなのかなど、まだ見えていない大きなリスクに対する社会全体の抵抗力のようなものを、常に意識し続けることが大切だと思います。

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